著者
熊谷 浩一 田中 尚人 佐藤 英一 岡田 早苗 Kumagai Koichi Naoto Tanaka Eiichi Satoh Sanae Okada 東京農業大学大学院農学研究科農芸化学専攻 東京農業大学応用生物科学部菌株保存室 東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科 東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科 Department of Agricultural Chemistry Tokyo University of Agriculture NRIC Tokyo University of Agriculture Department of Applied Biology and Chemistry Tokyo University of Agriculture Department of Applied Biology and Chemistry Tokyo University of Agriculture
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.274-282,

長崎県対馬市は南北に長い島であり,対馬のそれぞれの農家ではサツマイモを原料とした固有の伝統保存食品である『せんだんご』を小規模に製造している。 せんだんごは,水で戻し,捏ねた生地を麺状に加工して茹であげ『ろくべえ麺』として食される。 ろくべえは,原料であるサツマイモ単体では生じ得ない食感を有していることから,せんだんごの製造工程に着目した。 せんだんごの製造には,"芋を腐らせる(発酵させる)"工程,それを丸めて数ヶ月に及ぶ軒下での"寒晒し"の工程があることから,島内各地域の「せんだんご製造農家」を訪問し,製造方法の調査を行った。 その結果,これら両工程にはカビなどの微生物が繁殖しており,黒色カビが繁殖した場合は味が悪くなるという理由からその部位が破棄され,白色や青色カビが繁殖した部位の製造が続行される。 このことから微生物の働きがあってせんだんごとなり,さらにろくべえ麺特有の食感が与えられると推察した。 さらに,せんだんご製造に重要な働きをすると考えられる微生物を特定するにあたり,数年にわたり島内の調査を重ねた結果,基本的にはせんだんご製造工程には3段階の発酵工程(発酵1(浸漬),発酵2(棚板に広げて発酵),発酵3(ソフトボール大の塊で発酵))と洗浄・成型工程の2工程4区分に分けられることが確認された。Sendango is an indigenous preserved food derived from sweet potato that is traditionally made in Tsushima, Japan located between the Korean Peninsula and Kyushu. The local people process a noodle called Rokube from Sendango and eat it with soup, fish or chicken. Rokube has a unique texture similar to konyaku, and unlike that of cooked sweet potato. There are two or three fermentation processes involved in Sendango production; therefore, we inferred that the unique texture of Rokube may result from the fermentation process. Sendango is manufactured in several farmhouses on the island ; however, the manufacturing process varies among districts. We investigated each local Sendango manufacturing process and determined the microorganisms involved in fermentation. The investigation of Sendango manufacturing procedures was carried out in three towns, Toyotama, Izuhara, and Mitsushima, by interviews and observations between December and February each year from 2008 to 2011. The processes consist of three main fermentations. In Fermentation-1 (F1), sliced or smashed sweet potatoes were soaked in cold water for 7-10 days. Gas production and film formation were observed during F1. In Fermentation-2 (F2), the soaked sweet potato pieces were piled to a thickness of 5-20cm for 20-30 days. Intense propagation of filamentous fungi was observed during F2. In fermentation-3 (F3), softball-sized lumps were formed on the sticky sweet potato by fungi. The sweet potatoes were left outside for approximately 1 month. The lumps gradually hardened by drying. Many fungal mycelia were observed on the surface of potatoes and inside the lumps during F3. The three aforementioned fermentation processes were used for Sendango production in two towns (Toyotama and Izuhara). In Izuhara, smashed sweet potatoes were placed in sandbags knit with plastic strings, and the bags were soaked in the flowing river water. The sandbags collected from the river water were left on the river bank for 20 days. F2 was carried out in sandbags. In Mitsushima, Sendango production consisted of two fermentation processes, F1 and F3. The fermentation process occurs over a long time period. The propagation of filamentous fungi was particularly intense during F2 and F3. It is thought that filamentous fungi are indispensable for Sendango production. We characterized the microorganisms participating in Sendango production based on this investigation.
著者
佐藤 英一
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.30-36, 2008 (Released:2009-03-31)
参考文献数
34
被引用文献数
1 1

近年、予防医学の重要性が再認識されており、特に腸内細菌叢をコントロールすることにより宿主に保健効果を付与させるという考えから、プロバイオティクスが脚光を浴びている。腸内常在菌の中でも乳酸菌は宿主に様々な保健効果をもたらし、我々の健康にとって重要な役割を担っている。乳酸菌の効果が発揮されるには、有用菌が腸内細菌叢を正常化する過程が必要であり、腸管内に定着することで足場を築き、周囲の細菌叢や宿主組織に作用するという段階を経る。そのため、乳酸菌の腸管定着メカニズムの解明はプロバイオティクスとしての応用を考える上でも重要視されているのである。また、膨大な数の微生物が共生している腸内環境において、乳酸菌がいかに生活の場を確保しているか、すなわち微生物生態学的な意味からも興味深い課題である。これまでにいくつかの乳酸菌腸管付着因子が報告されているが、従来の研究では宿主側の因子としてcollagen、fibronectin、laminin などの細胞外マトリックスの精製標品を用いるのが主流であった。この方法は定着性の高い菌株のスクリーニングなど応用面を重視する場合には有効であるが、腸管定着機構の本質を理解しようとする場合、よりin vivoに近い環境から宿主側の付着因子を検索するのが妥当であろう。また、腸管定着を分子同士の結合というレベルにまで掘り下げて研究している例は少ない。本稿ではLactobacillus reuteriが腸上皮細胞に付着する仕組みを、腸管付着因子と上皮細胞受容体様分子との相互作用と捉え、細胞レベル・分子レベルでの解析を試みた結果を紹介する。
著者
長野 幹雄 川合 伸明 長谷川 直 北薗 幸一 佐藤 英一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.863, pp.18-00012, 2018 (Released:2018-07-25)
参考文献数
15

With the development of spacecraft, the brittle materials like ceramics and glass have been used for significant components especially in optical and thermal systems. However, they are vulnerable to damage by hypervelocity impact of space debris and micrometeoroids. Against a backdrop of increasing number of space debris, impact-damage evaluation on brittle materials become a growing concern. In this study, a series of hypervelocity impact experiments has been conducted to evaluate internal damage propagation mechanism in a fused-silica-glass plate target by impacting a stainless steel projectile with 1-mm diameter in the velocity range around 2 km/s. Damage propagation behavior was observed from two directions simultaneously by means of in-situ shadowgraph coupled with an ultra-high-speed video camera. The observation concentrates on propagation behavior of lateral cracks and that of internal failure. The former is revealed to a mass of small cracks which were generated by passing of the surface stress wave. The latter propagation is affected by the longitudinal and transversal waves, the reflection of the spherical stress waves on the back surface of target. The failure propagates rapidly two times by the reflected waves: first rapid propagation was caused by tensile stress induced by the reflected longitudinal wave, the secondary rapid propagation was caused by shear-compression mixture stress induced by the reflected transversal wave, which was generated by mode conversion of the longitudinal wave.
著者
澤井 秀次郎 福田 盛介 坂井 真一郎 櫛木 賢一 荒川 哲人 佐藤 英一 冨木 淳史 道上 啓亮 河野 太郎 岡崎 峻 久木田 明夫 宮澤 優 植田 聡史 戸部 裕史 丸 祐介 下地 治彦 清水 康弘 芝崎 裕介 島田 貞則 横井 貴弘 藪下 剛 佐藤 賢一郎 中村 和行 久原 隆博 高見 剛史 田中 伸彦 古川 克己
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
航空宇宙技術 (ISSN:18840477)
巻号頁・発行日
pp.JSASS-D-16-00050, (Released:2017-08-03)
被引用文献数
2

SLIM (Smart Lander for Investigating Moon) is the Lunar Landing Demonstrator which is under development at ISAS/JAXA. SLIM demonstrates not only so-called Pin-Point Landing Technique to the lunar surface, but also demonstrates the design to make the explorer small and lightweight. Realizing the compact explorer is one of the key points to achieve the frequent lunar and planetary explorations. This paper summarizes the preliminary system design of SLIM, especially the way to reduce the size.
著者
佐藤 英一 松下 純一 北薗 幸一
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

構造用複合材料における材料設計の目的は、望みの力学的性質すなわち製品の応力方向へ高い強度や靱性を得ることである。近年、形状記憶合金繊維の形状記憶ひずみにより生じる内部応力を利用して複合材料の力学的性質を改善する試みがなされているが、強化方向が繊維の方向で決められてしまうことは、通常の繊維強化複合材料と変わりがない。本研究は、方向や大きさの制御が可能である内部応力の起源として「磁歪」に注目し、等方的な磁歪粒子強化複合材料に磁化熱処理を行うことにより、選択方向を強化した異方性複合材料を創製することを目的とした。モデル材料系には、分散粒子には超磁歪材料Tb_<0.3>Dy_<0.7>Fe_2(Tafenol-D)、マトリクスにはAl, Pb, Snを選んだ。はじめに押し出しによる粉末法により、Al/Tafenol-D, Pb/Tafenol-D複合材料を作製し緩和プロセスを観察したが、磁化熱処理中にひずみの緩和は観察されなかった。押し出しでは粒子を分散させるのに加工度が不十分であると考えられたので、繰り返し圧延接合法(ARB法)によりSn/8vol%Tafenol-D複合材料を作製した。水冷電磁石にオイルバスを設置し、最大0.8T、453Kでの磁化熱処理を施し、緩和プロセス中のひずみ変化を測定した。磁場負荷により複合材料に生じた瞬間ひずみは、予想通り、磁場方向に伸び、垂直方向に縮みの方向であり、その大きさも予測値と一致していた。瞬間ひずみの発生後、磁化熱処理中にひずみは指数関数的に減少するのが観察された。その緩和時間は、粒子径と拡散係数から予測される値とほぼ一致しており、緩和時間のアーレニウスプロットから緩和の活性化エネルギーが求められた。以上より、選択方向強化複合材料創製の要となる磁化熱処理中の緩和プロセスを直接観察することができた。
著者
渡辺 和子 細野 喜美子 嶋田 智明 吉田 正樹 佐藤 英一 新田 麗子 細野 喜美子 渡辺 和子
出版者
神戸大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

看護における移動技術の巧拙は看護者の体のテコのバランスの用い方と密接に関連しているが, 患者及び看護者の重心移動に関するより詳細なバイオメカニクス的研究は未だない. 重量負担の大きい患者の移動動作の効率的な介助方式の開発は, 老人人口が増加する今日の重要な課題である. 従って, 我々は日常用いられている看護者の移動技術を取り上げ熟達者と未熟者達の技術の差及び患者の受ける負担を力学的・生理学的に解明することを目的とした. 全介助の必要な患者を仰臥位から起坐位にする場合の技術の効率性を検討するために次のような実験を行った.1.熟練者の技術の特長から指導ポイントを取り出し, これを用いて未熟練者の指導前後の関節角度の変化を分析し, 指導ポイントの要因について考察し知見を引き出した.2.熟練者の移動動作における筋活動の発生順序の分析の結果, 動作初期の腓腹筋と大腿四頭筋・左上腕三頭筋・左上腕二頭筋の活動の様相に特徴が見られた.3.未熟練者の左右の腰背筋の筋電図と関節角度の変化を指導前後に測定した. 指導前に腰背筋は最大収縮力を使っているが, 指導後は低い筋活動で患者の移動を成功している. これにより指導ポイントがより明らかになった.4.熟練者から取り出した指導ポイントを用いて, 未熟練者14名の指導前後の筋電図の比較検討を行った. その結果, 指導によって動作はリズミカルになり, 筋活動も効率的となることが明らかになった.5.全介助の必要な患者をベッド上で仰臥位から坐位にする際, ベッドの高さに対して介助者の身体的負担への影響を検討した. その結果介助者の身体疲労・疼痛の程度は身長の50%のベッドの高さで最も少なかった.