著者
番庄 智也 片寄 晴弘
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2021-EC-59, no.12, pp.1-7, 2021-03-09

本研究ではエンタテインメントコンピューティング領域の研究対象として注目が集まりつつある感情曲線の入力支援ツールの作成とその入力基準の策定に取り組む.感情曲線は物語や映画などの作品における感情の上げ下げを時系列に記述したグラフであり,作品制作時に利用されたり,また,鑑賞者の楽しみとして描かれることも増えてきている.基本的に感情曲線は主人公の幸福度を投影したものとされるが,鑑賞者の作品の理解や思い入れ,気分や性格によっても描かれる形状が変わると考えるべきである.本研究では,鑑賞者の作品の理解によって感情曲線がどのように変容するのかについての作業仮説獲得を目指して,人気アニメーションの 1 エピソード(シリーズものではあるが,それだけでも完結しているもの)を対象とした感情曲線入力実験を実施した.この結果,登場人物の関係性や登場人物の性格に対しての鑑賞者の理解が感情曲線の描出に影響を与えることを示唆するデータが観測された.
著者
番庄 智也 橋田 光代 片寄 晴弘
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.53-57, 2021-08-23

鑑賞者の心の動きを表現,記述する手法の一つに感情曲線がある.感情曲線はSNS等において,小説や映像作品に対する感動を共有するツールとして利用されることがある.筆者らは感情曲線の様相についての初期的検討を行った際に得られたいくつかの知見や課題を通じて,多くの人が共通に使える入力・編集ツールを整備し,公開していくことで,研究領域全体の発展に寄与できるようになると考えるようになった.そこで,我々は感情曲線に関する研究を進める上で特に課題となる(1) 感情曲線のデータ収集,(2) 使用者の表現感覚に合致する感情曲線の入力手法,(3) 様々な感情曲線への対応と言った部分で支援または解決するようなツールを開発した.