著者
河野 俊夫 山本 由徳 疋田 慶夫
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

(目的)本研究では、食用カンナ澱粉のもつ高い粘度特性を活かした新食感パスタを提供することを目的として、主原料の小麦粉に一定程度の割合の食用カンナ澱粉を混ぜ合わせた食用カンナ澱粉パスタの試験製造を行い、その品質評価を行った。(供試材料および方法)食用カンナ澱粉は、台湾赤系統(No.10とNo.13)の根茎を電気ミキサーですり潰し、二重にした100mesh布で絞り出し乾燥させたものを用いた。小麦粉100gに対して15, 30, 45gの食用カンナ澱粉を添加し、水9g、オリーブオイル6g、塩0.2gと合わせ手捏ねで生地を作成した。これをパスタローラーにより2mm厚とし、フェットチーネカッターを用いて6.5mm幅の生パスタに成形した。(結果)食用カンナ澱粉を配合したパスタの表色は小麦粉のみを主原料とするパスタに比較し、くすんだ色を呈した。しかし、a*値は2.5~5.0、b*値は20~28で、色調は変わらない値であった。咀嚼モードでパスタ押圧時の見かけヤング率を計測した結果、食用カンナ澱粉を用いたパスタは、0.23~0.50N/mm<sup>2</sup>の値を示し、小麦粉のみのパスタの0.24~0.3N/mm<sup>2</sup>に比較し、少し硬い食感となることが分かった。弾力性値、咀嚼性値も、見かけヤング率の結果を反映し硬い食感値を得た。小麦粉のみのパスタとの比較による食味官能評価(-2~+2評価)では、つやは+0.2~0.55、なめらかさは0~+0.67、においは+0.11~+0.66といずれも小麦粉のみのパスタよりもプラスの評価を得た。
著者
河野 俊夫 橋本 聖子 疋田 慶夫
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

<b>【目的】</b>食品ロスを削減するためには、なによりも、提供した食品を消費者に100%消化してもらえることが大切であり、そのためには、消費者のもったいない意識の醸成はもちろんのこと、食材の高品質化と鮮度保持が重要と考えられる。外食産業で使われる食材の多くが調理済み冷凍食品であることからすれば、冷凍処理過程および冷凍処理後の調理済み食品の品質変化を正確に把握・管理する技術が必要である。<br><b>【方法】</b>そこでレストラン等の外食産業で利用されることの多い冷凍食材について、その品質の変化を、近赤外線によって探査・推定する手法について研究した。外食産業で利用頻度の高い野菜として、アスパラ、カボチャ、グリーンピース、コーン、ニンジン、ブロッコリの冷凍ものについて、これら冷凍食材に光を照射し、その反射光のスペクトルに含まれる品質関連の固有波長の情報を利用して、各食材の品質指標を推定する方法について検討した。<br><b></b><b>【結果】</b>冷凍野菜表面の近赤外反射分光スペクトルのマッピングデータから冷凍野菜の品質指標を推定する場合に、各品質指標を個別に推定するにはPLSRモデルを用いることが精度の点で優れる。一方、ニューラルネットワークモデルによる品質指標の一括推定モデルについては、一つのモデルで品質指標を一括して推定できる利点はあるが、PLSRモデル構築と同程度のデータ数で構築した場合、学習過程で、データ分散の大きな品質指標に最適化が行われる傾向があり、糖含量相対値のように分散の小さなデータに対しては予測精度が低くなる結果となった。 <br> なお、本研究は、公益財団法人江頭ホスピタリティ事業振興財団の研究助成により実施した。ここに記して謝意を表する。
著者
河野 俊夫 疋田 慶夫
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.19-25, 2005 (Released:2006-03-01)
参考文献数
11

Storage tests were conducted under a temperature range of 4 to 16℃ (to 12℃ for ‘Unshiu’) for three kinds of citrus fruits: ‘Kiyomi’, ‘Unshiu’ and ‘Amanatsu’ Fruits for the tests were stored in air-tight container for 6 hrs,and change in the temperature and humidity in the head air space in the container was measured to evaluate the quantity of moisture transpiration from fruits under dynamically fluctuating moisture conditions caused by transpiration.Based on the equation for defining moisture transpiration resistance for plants, moisture transpiration resistances for tested citrus fruits were calculated and the values were plotted against vapor pressure difference between the head space air and fruit surface. The resulted figure showed moisture transpiration resistance for citrus fruit exponentially increases as the vapor pressure difference decreases. Then an empirical non-linear approximation equation was proposed and its parameters for each citrus fruit were obtained by the Marquardt method. Parameters in the equation were dependent on storage temperature and the slopes of parameters against storage temperature were similar for all types of fruit tested. The relationships were also arranged in the form of a linear equation with two parameters.