著者
白井 久美子 シライ クミコ SHIRAI Kumiko
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 (ISSN:18817165)
巻号頁・発行日
vol.276, pp.123-132, 2014-02-28

千葉大学大学院人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 第276集 『型式論の実践的研究II』柳澤 清一 編"Pratical Study of Typology II", Chiba University Graduate School of Humanities and Social Sciences Research Project Reports No.276前方後円墳は、日本独特の王陵の形態である。それはまた、ヤマト王権の象徴でもあり、前方後円墳が日本各地の豪族の墓として採用されていく過程は、王権の勢力拡大の軌跡を最も端的に表している。一方、前方後円墳が出現する古墳時代は、日本が東アジア世界の外交を本格的に開始した時期であり、前方後円墳の出現は激動の時代を象徴する出来事であったともいえる。また、長い間、前方後円墳の研究は、箸墓古墳や大仙古墳(仁徳陵古墳)などに代表される近畿地方の巨大な墳丘や埋葬施設、豪華な副葬品を対象に進められ、地方の前方後円墳の情報が全国的に伝わることはほとんどなかった。ところが、1991年~2000年にまとめられた全国の前方後円墳集成の結果によって意外な事実が浮かび上がった。その集成を監修した近藤義郎氏は、はしがきで次のように述べている。「日本全土のうちでもっとも数多くの前方後円墳が作られたのは千葉県であり、それは奈良県の約2.5倍、京都府の約6倍の数という事実の解明は、これまでの理解を大きく変え、前方後円墳とはなにかを考えるひとつの手掛かりとなる。」特に、関東地方の前方後円墳の盛衰は、近畿地方とは大きく異なる。近畿地方で前方後円墳の巨大化が進む前期には、関東では「前方後方墳」を豪族の墓に採用し、近畿地方で大型前方後円墳を作らなくなる後期の6世紀後半以降になって盛んに大型前方後円墳を築造している。千葉県はその代表的な地域であり、このことが全国一多い前方後円墳を創出しているのであるが、関東地方にとって前方後円墳の築造とはどのような意味をもっていたのか、改めて検証することにしたい。
著者
髙田 幸尚 白井 久美 岡田 由香 雑賀 司珠也
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.515-520, 2013-04-15

要約 目的:白内障手術を受けた網膜色素変性患者の術前の期待や術後の感想の調査報告。対象と方法:過去5年間に両眼に白内障手術が行われた網膜色素変性患者7例を対象とした。男性3例,女性4例で,年齢は39~71歳である。手術に至る経緯と動機,術後の視機能や感想につき,手術から平均2年後にアンケートで調査した。客観的な視機能は診療録などで調べた。視力はlogMARで評価した。結果:平均矯正視力は術前1.25±0.71,術後1.11±0.85であった。5例が眼科医に手術を勧められた。全例が術後の視機能の改善を期待し,5例で視機能が改善した。手術を後悔している症例はなかった。結論:網膜色素変性患者での白内障手術では,高い満足度が得られた。術前に詳細な説明をすることで,満足度がより高くなることが期待される。