著者
坂本 勇斗 白土 大成 牧迫 飛雄馬
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.45-52, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
32

【目的】任天堂WiiⓇ(以下,WiiⓇ)は活用の用途が拡大しリハビリテ-ション(以下,リハ)に応用されるが,脳腫瘍患者を対象にした報告は限られている.今回,脳腫瘍患者に対するWiiⓇリハの有効性を評価することを目的とした.【方法】PubMed, Cochrane Library,医学中央雑誌の各電子データベースとハンドサーチを用いたスコーピングレビューを行った.対象期間は2006年~2021年,言語は日本語と英語とした.【結果】検索された155件から3件が選択された.WiiⓇリハは脳腫瘍患者の身体機能やADL,身体活動への動機づけ,入院環境からの気晴らしについて有効であることが示唆された.【結論】WiiⓇリハは脳腫瘍患者の身体機能やADL,精神面を改善する可能性が示唆された一方,選択されたのは3件のみで,いずれも研究デザインの側面でWiiⓇリハの有効性を明示するには不十分であった.さらに厳密なデザインの介入研究により効果を検証することが望ましい.
著者
牧迫 飛雄馬 白土 大成 椎葉 竜平 谷口 善昭 窪薗 琢郎 大石 充
出版者
一般社団法人 日本予防理学療法学会
雑誌
日本予防理学療法学会雑誌 (ISSN:24369950)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.19-24, 2022-03-31 (Released:2022-03-30)
参考文献数
21

【目的】地域在住高齢者における運動器疾患,転倒歴および多剤併用とサルコペニアとの関連性を調べることを目的とした。【方法】地域コホート研究に参加した高齢者905 名を対象とし,運動器疾患の有無,1 日の服薬数,過去1 年間での転倒歴を聴取した。サルコペニアはAWGS2019 の基準で判定した。【結果】全対象者のうちの166 名(18.3 %)がサルコペニアに該当した。骨粗鬆症を有する者ではサルコペニアの該当者が有意に多かったが,脊椎疾患および変形性関節症とサルコペニアとの関連は認められなかった。ロジスティック回帰分析の結果,運動器疾患とサルコペニアの関連は確認されず,多剤併用(6 剤以上)(オッズ比1.56)および転倒歴(オッズ比1.65)がサルコペニアと有意に関連していた。【結論】骨粗鬆症を有する高齢者ではサルコペニアに該当する者の割合が高かったものの,多変量解析においてはサルコペニアと運動器疾患との関連性は認められず,多剤併用および転倒歴がサルコペニアと関連する要因として抽出された。
著者
白土 大成 橋本 幸成 濱田 則雄 永利 聡仁 吉田 大輔
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.257-261, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
20

〔目的〕急性期脳梗塞患者を対象とし,発症時の大腰筋面積が転帰に与える影響について検討した.〔対象と方法〕対象は脳梗塞発症後3日以内に入院した46例とし,退院時の転帰より自宅退院群(14例)と転院群(32例)に分類した.入院時の腹部computed tomography(CT)にて大腰筋からpsoas muscle mass index(PMI)を算出するとともに診療録より検討因子を後方視的に調査し,2群間にて比較検討した.また,多変量解析より転帰に影響する因子を抽出した.〔結果〕自宅退院の可否と関連を認めたのは,PMI,入院時National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS),入院前modified Rankin Scale(mRS),高次脳機能障害の有無であり,多変量解析ではPMI,入院時NIHSS,入院前mRSが選択された.〔結語〕脳梗塞発症時のPMIは,自宅退院の可否に関連しており,発症後早期からの転帰予測に有用な評価指標である可能性が示唆された.