著者
赤井田 将真 中井 雄貴 富岡 一俊 谷口 善昭 立石 麻奈 田平 隆行 竹中 俊宏 窪薗 琢郎 大石 充 牧迫 飛雄馬
出版者
一般社団法人 日本老年療法学会
雑誌
日本老年療法学会誌 (ISSN:2436908X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-6, 2022-06-01 (Released:2022-06-04)
参考文献数
30

【目的】地域在住高齢者ドライバーにおける自動車事故歴と転倒歴の関連性を調べることを目的にした。【方法】地域コホート研究(垂水研究2018または2019)に参加した65歳以上の自動車運転をしている高齢者602名(平均年齢72.8±5.6歳,女性50.0%)を対象とし,横断的に解析を行った。自動車事故歴は過去2年間の自動車事故歴の有無を聴取し,「事故歴あり」と「事故歴なし」に分類した。転倒歴は過去1年間における転倒の有無を聴取し,「転倒歴あり」と「転倒歴なし」に分類した。統計解析では,従属変数に事故歴の有無,独立変数を転倒歴の有無,共変量に年齢,性別とした二項ロジスティック回帰分析を行った。【結果】全対象者のうちで自動車事故歴がある者は5.6%,転倒歴がある者は13.0%であった。事故歴ありの者は,事故歴なしの者に比べ転倒歴を有する者の割合が有意に高かった(p=0.003)。二項ロジスティック回帰分析の結果,転倒の経験は自動車事故の経験と有意に関連することが示された(オッズ比:3.12,95%信頼区間:1.42–6.85,p=0.004)。【結論】地域在住高齢者ドライバーにおいて,自動車事故の経験を有することと転倒の経験を有することは関連することが示唆された。
著者
牧迫 飛雄馬 赤井田 将真 立石 麻奈 松野 孝也 鈴木 真吾 平塚 達也 竹中 俊宏 窪薗 琢郎 大石 充
出版者
一般社団法人 日本老年療法学会
雑誌
日本老年療法学会誌 (ISSN:2436908X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-7, 2022-03-01 (Released:2022-03-30)
参考文献数
42
被引用文献数
2

【目的】地域在住高齢者における軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)に関連する可変因子を探索し,それらの組み合わせによるMCIとの関連性を検討することを目的とした。【方法】地域コホート研究(垂水研究2018および2019)に参加した高齢者のうち,MCI群289名と非MCI群289名(プロペンシティ傾向スコアによる1:1のマッチング)の計578名(平均年齢76.15歳,女性63.7%)のデータを横断的に分析した。決定木分析によりMCIの有無に関連する項目を抽出してグループ化した。【結果】決定木分析の結果,握力低下(男性 28 kg未満,女性 18 kg未満),睡眠の質の低下,社会参加の有無の組み合わせによりグループが形成され,MCIの割合は握力低下なし+睡眠の質の低下なしの群で最も低く(37.7%),握力低下あり+地域行事の参加なしの群で最も高かった(82.0%)。【結論】筋力が維持され,睡眠の質が良好な高齢者では認知機能低下が抑制されている可能性が高く,一方で筋力が低下し,社会参加(地域行事などへの参加)が乏しい高齢者では認知機能の低下が疑われ,MCIを有する割合が高くなることが示唆された。筋力,睡眠,社会参加を良好な状態に維持すること,またはいずれかに低下が認められてもそれ以外の因子を良好な状態を保つことが認知機能低下の抑制に寄与するかもしれない。
著者
牧迫 飛雄馬 白土 大成 椎葉 竜平 谷口 善昭 窪薗 琢郎 大石 充
出版者
一般社団法人 日本予防理学療法学会
雑誌
日本予防理学療法学会雑誌 (ISSN:24369950)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.19-24, 2022-03-31 (Released:2022-03-30)
参考文献数
21

【目的】地域在住高齢者における運動器疾患,転倒歴および多剤併用とサルコペニアとの関連性を調べることを目的とした。【方法】地域コホート研究に参加した高齢者905 名を対象とし,運動器疾患の有無,1 日の服薬数,過去1 年間での転倒歴を聴取した。サルコペニアはAWGS2019 の基準で判定した。【結果】全対象者のうちの166 名(18.3 %)がサルコペニアに該当した。骨粗鬆症を有する者ではサルコペニアの該当者が有意に多かったが,脊椎疾患および変形性関節症とサルコペニアとの関連は認められなかった。ロジスティック回帰分析の結果,運動器疾患とサルコペニアの関連は確認されず,多剤併用(6 剤以上)(オッズ比1.56)および転倒歴(オッズ比1.65)がサルコペニアと有意に関連していた。【結論】骨粗鬆症を有する高齢者ではサルコペニアに該当する者の割合が高かったものの,多変量解析においてはサルコペニアと運動器疾患との関連性は認められず,多剤併用および転倒歴がサルコペニアと関連する要因として抽出された。
著者
谷口 善昭 牧迫 飛雄馬 中井 雄貴 富岡 一俊 窪薗 琢郎 竹中 俊宏 大石 充
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.131-138, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
47

【目的】地域在住高齢者における骨量・筋量低下と身体活動との関連性を明らかにすることを目的とした。【方法】地域コホート研究(垂水研究2018)に参加した地域在住高齢者173 名を分析対象とした。骨量低下は%YAM が70% 以下とし,筋量低下は四肢骨格筋指数がサルコペニアの基準より低いものとした。身体活動量は3 軸加速度計を用いて,座位行動時間延長,中高強度身体活動時間低下,歩数低下の有無に分類した。骨量・筋量をもとに正常群,骨量低下群,筋量低下群,骨量・筋量低下群の4 群に分類し,基本情報および身体活動を比較した。【結果】骨量・筋量低下群は正常群と比べて中高強度身体活動時間が有意に減少していた(オッズ比3.29,p < 0.05,共変量:年齢(5 歳階級),性別,歩行速度低下,うつ傾向)。【結論】骨量・筋量低下を併存している高齢者は,中高強度身体活動時間が減少していることが示唆された。
著者
谷口 善昭 中井 雄貴 富岡 一俊 窪園 琢郎 竹中 俊宏 大石 充 牧迫 飛雄馬
出版者
一般社団法人 日本地域理学療法学会
雑誌
地域理学療法学 (ISSN:27580318)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.18-23, 2022-03-31 (Released:2022-06-15)
参考文献数
28
被引用文献数
1

【目的】 本研究は,地域在住高齢者における踵骨の骨量と階段使用頻度との関連性を調べることを目的とした.【方法】 地域コホート研究(垂水研究2018)に参加した高齢者169名を横断的に分析した.骨量は%YAMが70%以下を骨量低下とした.階段使用頻度について,自宅内階段は1日0回と1回以上の2群,自宅外階段は週0~2回・3~7回・8回以上の3群に分類した. 【結果】 従属変数を骨量低下の有無,独立変数を階段使用頻度としたロジスティック回帰分析の結果,自宅内の階段使用頻度に有意な関連は認められなかったものの,自宅外の階段使用頻度0~2回を参照とし,8回以上では有意に骨量低下が減少した(オッズ比0.32,95%信頼区間0.11–0.97,p = 0.045,共変量:年齢,性別,ASMI,握力,歩行速度).【結論】 自宅外での階段の使用頻度が多いと骨量低下の抑制に有用となり得る可能性が示唆された.自宅内の階段使用頻度は関連しておらず,外出を含めた階段の使用が骨量に影響を与えている可能性がある.
著者
谷口 善昭 牧迫 飛雄馬 中井 雄貴 富岡 一俊 窪薗 琢郎 竹中 俊宏 大石 充
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12150, (Released:2022-02-22)
参考文献数
47

【目的】地域在住高齢者における骨量・筋量低下と身体活動との関連性を明らかにすることを目的とした。【方法】地域コホート研究(垂水研究2018)に参加した地域在住高齢者173 名を分析対象とした。骨量低下は%YAM が70% 以下とし,筋量低下は四肢骨格筋指数がサルコペニアの基準より低いものとした。身体活動量は3 軸加速度計を用いて,座位行動時間延長,中高強度身体活動時間低下,歩数低下の有無に分類した。骨量・筋量をもとに正常群,骨量低下群,筋量低下群,骨量・筋量低下群の4 群に分類し,基本情報および身体活動を比較した。【結果】骨量・筋量低下群は正常群と比べて中高強度身体活動時間が有意に減少していた(オッズ比3.29,p < 0.05,共変量:年齢(5 歳階級),性別,歩行速度低下,うつ傾向)。【結論】骨量・筋量低下を併存している高齢者は,中高強度身体活動時間が減少していることが示唆された。
著者
石川 ふさ子 大石 充男 木村 圭介 安井 明子 斉藤 和夫
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.150-155, 2004-06-25
参考文献数
18
被引用文献数
27

キャピラリー電気泳動(CE)を用いて我が国の許可色素12種の分析法を検討した.食品中の色素を水および0.5%アンモニア-エタノール(1 : 1)混液で抽出し,色素抽出液をSep-Pak Plus tC18による固相抽出法で精製した.CE条件はキャピラリーにバブルセルキャピラリー,泳動液に20%アセトニトリル含有10 mmol/Lリン酸二水素カリウム-5 mmol/L炭酸ナトリウム緩衝液(pH 10.0)を用いた.各色素の移動時間および面積値の変動係数はそれぞれ0.28~0.62%,1.84~4.30%であり,吸収スペクトルによる確認限度は5~10 &mu;g/mLであった.各色素の清涼飲料水,キャンディーおよび漬物からの添加回収率(10 &mu;g/g)は70.0~101.5%であり,本法を市販食品に適用した.
著者
伊東 範尚 樂木 宏実 大石 充
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の結果により閉塞性睡眠時無呼吸を有する高齢患者において、その重症度が筋力や身体能力に関連することが示された。左室拡張能低下などとも相関を認めた。認知機能に関しては横断研究では強い相関を認めなかった。認知機能は個人差が大きいため横断研究では結果が出にくかったと考え、各患者の認知機能を経時的に評価している。また、持続陽圧呼吸(CPAP)療法により、筋力や身体機能、左室拡張能の進行を抑制・改善できるかを前向きに観察している。さらにこの機序についてDNAメチル化などの情報などから検討を続けていく。
著者
石川 ふさ子 大石 充男 新藤 哲也 堀江 正男 安井 明子 中里 光男
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.339-346, 2008-10-01 (Released:2008-11-25)
参考文献数
19
被引用文献数
5 6

市販ブルーベリーエキス含有健康食品中のアントシアニン含有量とその組成を調査する目的で,食品からの抽出法とHPLCおよびLC/MSによる分析法を検討した.健康食品中のアントシアニンは塩酸酸性メタノールで還流抽出し,吸光光度法によりデルフィニジンの量に換算して定量した.アントシアニン15種とアントシアニジン5 種の計20種は移動相にギ酸とメタノール-アセトニトリル混液を用いたグラジエントHPLCで分離し,ピークの同定はLC/MSを用いた.ブルーベリーエキス含有表示のある市販健康食品25品目に本法を適用したところ,ビルベリー新鮮果実から抽出,精製した標準エキスと組成が異なる製品が1品目あった.