著者
白山 靖彦 湯浅 雅志 渡邉 彩 一ノ宮 実咲 臼谷 佐和子
出版者
日本老年精神医学会
雑誌
老年精神医学雑誌 (ISSN:09156305)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.905-909, 2019-08-20

認知症の予防・治療法が確立していない中で,診断前後のサポートは極めて重要である.社会福祉の立場からサポートの対象を家族,地域に焦点をあて,特に家族が担う負担の重さ,バーチャルリアリティ技術を活用した認知症の普及啓発,徳島県内の地域包括支援センターによる先進的な取組みについて紹介する.そして,認知症になっても住み慣れた地域で住み続けられる共生社会の実現に向けた展望について述べる.
著者
白山 靖彦 中島 八十一
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.609-613, 2012-12-31 (Released:2014-01-06)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

本研究では高次脳機能障害者の相談支援体制に関して, 国立障害者リハビリテーションセンター発行の報告書 (2011 年) を基に統計的分析を加えて定量的に検討した。41 都道府県のうち外れ値として特定した 2 地域を除外し, 39 都道府県を分析対象とした。支援拠点機関における相談件数の年平均は, 直接相談 527.2 (±526.4) 件, 間接相談 269.3 (±301.2) 件, 総計796.5 (±735.0) 件であり, 人口 10 万人あたりに換算した総計は年 47.0 (±38.3) 件であった。また, 当該地域の人口と相談件数との間に有意な相関を示した。さらに, 39 都道府県を高次脳機能障害支援モデル事業 (以下「モデル事業」) に参加した 12 都道府県とそれ以外の 27 都道府県とに分けて群間比較をおこなったところ, 人口 10 万人あたりの件数に有意な差は認められなかった。したがって, モデル事業実施の影響は減少し, 高次脳機能障害者に対する支援体制の均霑化が図られたと示唆される。
著者
白山 靖彦 北村 美渚 伊賀上 舞 木戸 保秀
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.172-177, 2021-06-30 (Released:2022-06-30)
参考文献数
16

脳損傷により高次脳機能障害を呈した場合, 認知能力とともに, 意思決定能力も低下すると考えられている。意思決定能力とは, 自分の意思を伝えることができること, 関連する情報を理解していること, 選択した理由に合理性があることとされており, 医療同意能力や判断能力を包含する。しかし, 意思決定能力を定量・客観的に測定する指標は未だなく, 意思決定支援の定式化には及んでいない。したがって, 多職種による合意形成や, 質問方法の工夫といった支援者側のスキルが求められることになる。  本稿では, 高次脳機能障害者の医療と福祉における意思決定支援に関して, それぞれの立場におけるポイントを概説し, これまで行ってきた研究の一部を紹介する。