著者
白川 隆 我孫子 和雄
出版者
農業技術研究機構野菜茶業研究所
巻号頁・発行日
no.4, pp.29-37, 2005 (Released:2011-03-05)

野菜苗または野菜種子に接種した大腸菌の動態を解析した。その結果,ほぼ全ての野菜種子でその発芽時に大腸菌が,種子浸漬液中で増殖した。また,4科8種の実生幼苗を供試して子葉表面での大腸菌の増殖を検討した結果,高湿度条件下で全ての子葉上における増殖を確認した。さらに,6科15種の実生苗の胚軸における大腸菌の増殖を検討した結果,全実生苗の胚軸組織で大腸菌の増殖を認めた。以上のことから,湿度条件などの環境条件が増殖に好適であれば,大腸菌は,ほぼ普遍的に実生幼苗の植物体表面及び組織内で増殖するものと考えられた。
著者
山内 智史 島津 樹一 佐藤 衛 堀内 誠三 白川 隆
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, 2003-02-25
被引用文献数
1

日本国内ではレタス根腐病菌病原性グループ1,2,3の発生が確認されており,病原性グループ1のみがビオチン要求性を示すことを明らかにしてきた.そこで,病原性グループ1におけるビオチン要求性が菌の諸性質にどのような影響を与えているか検討を行った.合成培地である駒田培地から抗菌性物質を除いた培地(1/2BM)上で11〜28日間培養を継続したところ,4/800の割合でビオチン非要求性変異株が得られた.野生株と変異株の間で形態的特徴,PSA培地上での菌糸伸長に違いは認められなかったが,気中菌糸の生育と胞子形成量は変異株が上回った.さらにVCG,レタス品種のパトリオット,晩抽レッドファイヤー,コスタリカ4号に対する病原性は野性株と同じであった.これらの結果から,病原性グループ1におけるビオチン要求性は生育に関わる代謝系に影響を与えるものであるが,病原性との関連性は低いものと考えられた.