著者
金子 由佳 金城 美幸 渡辺 秀樹
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.550-558, 2023-11-01 (Released:2023-11-10)
参考文献数
19

胆管浸潤や胆管圧排による閉塞性黄疸を伴う肝細胞癌に対する内視鏡的胆道ドレナージの有効性について検討した.2008年1月から2023年3月までに閉塞性黄疸を呈した肝細胞癌は20例だった.男性16例,女性4例で,平均年齢は75±8歳,門脈浸潤は,Vp0/Vp2/Vp3=13/3/4例,ステント挿入例は16例であった.閉塞性黄疸の改善の有無で全生存期間(OS)を比較すると,黄疸改善例では良好なOSを認めた(p<0.001).プラスチックステント7例,自己拡張型金属ステント9例で両者のOSに明らかな有意差を認めなかった(p=0.218).ドレナージ前後のT.Bil値で有意差を認めた(p=0.001).肝予備能の低下した進行期の肝細胞癌の閉塞性黄疸に対する内視鏡的胆道ドレナージは有用であり,患者の全身状態を考慮しながら検討すべきである.
著者
渡辺 秀樹
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.25-37, 1997-10-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1

This paper discusses the meanings of monopolization for the role of socializer, ie., child carer and also primary or nurturant socializer in the modern family, especially mothers.In modern societies, 1) the socialization process has become more discontinuous than in that of pre-modern societies. Children have their socialization experience not in the whole societies in which they live, but in their own famillies that are formed as isolated socialization systems. 2) The mother has held the monopoly for the role of parenting. Societies have lost the mechanism of multiple parenting and also the device of social uncle. 3) Anticipatory socialization has become the main process as opposed to participatory socialization. 4) In modern societies, the purpose of socialization is for mobility, ie., upward mobility in social stratification; anticipatory socialization is suitable for mobile societies. In other words, socialization is used not for ascription, but for achievement.As a whole, we can say that modern societies have lost their manifest function of socialization, although they have important latent or implicit effects upon socialization. Now, in contemporary societies changing toward the post-modern era, societies require us to construct a new socialization system to build a new manifest function of socialization, not monopolized by the family or by mothers, but taken by multiple socializers in broader societies as a socialization system.
著者
岩上 真珠 渡辺 秀樹 宮本 みち子 米村 千代 大槻 奈巳 松木 洋人
出版者
聖心女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015

・アンケート調査の属性集計から、調査結果の全体的な要約の作成と、それを踏まえた研究分担者の各自のテーマの分析案を検討する作業を行ない、10月以降にとりまとめる予定であった。・アンケート調査の自由回答欄も分析するため、記入内容をテキストデータ化する作業を行なった(業者委託)。30代では結婚・育児に関する不安、60代では将来の経済的生活、子どもとの関係に関する問題などが比較的多く記述されていた。10月以降に、自由回答の分析方法の検討も行なう予定であった。・インタビュー調査については、調査会社と対象者の選定作業や個人情報保護の取り扱いの取り決めなどの準備作業を行ない、平成29年9~10月に約20人(平成28年度延期分を合わせて合計40名)に対し実施予定であった。・平成29年8月に研究代表者が死去したことにより研究事業が廃止となったため、上記9月以降の作業の実施をすべて中止せざるをえなかった。
著者
渡辺 秀樹
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.36-52, 1975-07-31 (Released:2009-11-11)
被引用文献数
1

In this paper, we attempt to construct a hypothetical model about the socialization process in the family applying the structural-functional theory. The socialization as a interaction process is considered to be the mutual and longitudinal process. And this process is conceptualized by role-developmental terms.In the hypothetical model, family socialization process is divided into two analytical process ; role-negotiation process and role-realization process. The three key elements in this model are role-expectation, role-conception and role-behavior.On the one hand, the family as a whole expects socializee to perform hi: family member's roles deriving from the tasks of satisfying the functiona requisites of the family as a social system. The contents of this task shift from stage to stage throughout the entire family life cycle. This tasks a any given stage in the family life cycle are considered to be the family developmental tasks.On the other hand, the individual as a socializee expects himself t actualize his own roles such as congruent to his role-conception which derive from the tasks of gratifying the personal needs as a personality system. Th contents of this tasks shift from stage to stage throughout the individual life cycle. We call these changing tasks the individual developmental task.After the contents of role-s are negotiated between role-expectation an role-conception, role-behaviour is realized.These assumption enable us to construct the ihterrelational model of the family socialization process consisting of the three key concepts (Figure 2). And theoretically, relative congruency or discrepancy among the three key concepts divide this model into five typological forms (Figure 3). And then, we assume that these five family socialization types become the phases of longitudinal process through the family life cycle stages. The possible phasemovement as typelinkages are theoretically four patterns (Figure 4). These four family socialization patterns are divided into two adaptive socialization patterns and two selfinitiated socialization patterns.After attempting the model building, we consider the relation between the family life cycle and the family socialization patterns, and also consider the typelinkage variation of the adaptive socialization pattern (Figure 5).
著者
村松 博士 田中 育太 庵原 秀之 三上 淳一 中谷 玲二 日下部 俊朗 渡辺 秀樹 北川 一彦 土田 茂 久居 弘幸 倉 敏郎 坂田 隆
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.611-616, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
32

液体栄養剤の半固形への形状変化が臨床経過に与える効果を検証する目的で無作為多施設共同比較臨床試験を行った。半固形化栄養群(以下、介入群と略)には半固形状の水分とペクチンとカルシウムを添加し半固形状とした経腸栄養剤を、液体栄養群(以下、対照群と略)には液体の水と経腸栄養剤を経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)施行翌日から胃瘻より投与開始、漸増した。介入群75例と対照群76例について術後2週間の臨床経過を比較した結果、誤嚥性肺炎の発症は介入群(1/75)で対照群(11/76)よりも有意に抑制された(p=0.0028)。また、PEG前は両群に差がなかったブリストル便形状スケールは2週間後で介入群が対照群よりも低くなり(4.9 ± 1.1 対. 5.6 ± 1.1)(p=0.00045)、便性状が改善した。PEG周術期において液体栄養剤を半固形状に変化させることによって誤嚥性肺炎と下痢を抑制した。
著者
渡辺 秀樹 大森 文子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

英語の動物名で人間比喩義を持つものを類ごとに全て収集・リスト化し、イヌ科、ネコ、鳥類、昆虫の人間比喩用法、代表的詩人の動物名使用の特徴について研究論文を発表した。本研究では動物名の縁語も含めて人間比喩用法における動物名の類義・対義のグループや複雑な構造性を明らかにしたが、このメタファーの構造性の提示が本研究の成果であり学界でも注目された。その成果は既に日本英語学会全国大会シンポジウム「これからのコロケーション研究」の講師として口頭発表し、今後『英語動物名メタファーの構造と歴史』(仮題)という学術書に記す。
著者
末包 文彦 久世 正弘 住吉 孝行 川崎 健夫 田村 詔生 原 俊雄 坂本 泰伸 長坂 康史 宮田 等 福田 善之 元木 正和 石塚 正基 古田 久敬 前田 順平 松原 綱之 E. Chauveau T. Bezerra 中島 恭平 岐部 佳朗 T. Mueller M. Bongrand 渡辺 秀樹 早川 知克
出版者
東北大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2008

フランスのショーズ原子力発電所にニュートリノ検出器を建設し、原子炉ニュートリノにより第3のニュートリノ振動を確認し、θ13と呼ばれるニュートリノ混合角の測定を様々な解析方法で行った.(ダブルショー実験)これにより、ニュートリノ振動角が全て決定され、ニュートリノ振動によるCP非保存やニュートリノの質量階層性の測定に道を拓き、ニュートリノ物理の新展開を導いた.また、質量二乗差(Δm^2_<31>)を原子炉ニュートリノ振動の距離依存性の解析から世界で初めて測定した.
著者
渡辺 秀樹
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

3年間に1)古英詩の詩語と定型句の意味と系譜、2)動物名人間比喩義の収集分類と構造性の考察、3)研究基礎資料となる英語各種辞書における定型表現と比喩義の扱いの比較を続けてきた。第1分野は柱となる研究で、20年来取り組んで来た古英詩Beowulfのメタファー研究を進め、英文論文2点を雑誌に発表、博士論文を基に古英詩の比喩と定型表現研究書を出版した。論文1点は日本中世英語英文学会の機関誌、学会創立20周年記念号に寄稿を依頼されたもので、それを機にミュンヘン大学Hans Sauer教授より本詩の日本人研究文献表の作成を依頼された。論文は後にBeowulfの研究ハンドブックや最新校訂版に言及されることになって英語史学界に成果を広く認められた。第2分野では3年間で英語鳥名および犬科の名詞群の人間比喩義の体系を明らかにし、特定メタファー表現としては諺的直喩表現"as dead as a dodo"の発生と変化・拡散過程を中世英語の類似表現から論を起こし、19〜20世紀の200年のスパンで示した。両方の研究テーマおよび成果は先行研究が全くない当該研究者のオリジナル論考である。発表論文に対する反応および進捗状況を見て、英語動物名メタファー研究は、他の動物名に拡大して深化させる価値と必要があると判断し、これを研究テーマとする新たな科学研究費補助金研究を申請、採択されて継続中である(平成19〜22年科学研究費補助金基盤(C)(2)英語における動物比喩の総合研究:その歴史・構造・ジャンル(課題番号19520421))。第3の分野は辞書学とメタファー研究の複合で、比喩義や定型表現の独特な説明で名高い英和辞書『熟語本位英和中辞典(齊藤秀三郎)』を参照することが多かったため、研究副産物の形でこの辞書の英文序文の比喩・イディオムの使用法を解読した。これは後に英文書評論文に発展してヨーロッパの歴史的言語研究誌Historigraphia Linguistica(2006)に掲載された。3年間の研究では本来の古英詩文体研究が進み、重要テーマ、英語動物名の比喩体系研究が見出された。研究成果は出版論文・著書・学会口頭発表により公にされて反響を呼び、学界を刺激し一定の評価も得て、今後のBeowulf関係のシンポジウム企画・司会や英語連語研究のシンポジウムの講師を依頼されている。内外の古英詩研究者、英語メタファー研究者、英語辞書編纂者、諺・定型句研究者に新たな知見と資料を提供するものであると信ずる。
著者
稲葉 昭英 石原 邦雄 嶋崎 尚子 渡辺 秀樹 永井 暁子 西野 理子 石原 邦雄 嶋崎 尚子 渡辺 秀樹 田中 重人 藤見 純子 永井 暁子 西村 純子 神原 文子 保田 時男 澤口 恵一 福田 亘孝 田渕 六郎
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、1999年と2004年に行われた全国家族調査に引き続く第3回調査(NFRJ08)を計画・実施し、公共利用データを作り上げることを目的とする。2008年11月~12月に、日本の全国(島嶼部を除く)に居住する28歳から72歳までの男女を対象に9,400人を層化二段無作為抽出によって抽出、2009年1月~2月に訪問留め置き法に実査を行い、5,203名から回収票を得た(回収率55.4%)。