著者
白木澤 涼子
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究では、第二次世界大戦を未曽有の人災と捉え、そこでの町内会の働きをソーシャル・キャピタルの観点から捉え直し、そのポジティブとネガティブな二面性を明らかにする。ソーシャル・キャピタルの二面性を前提として、今後のわが国の自然災害・人災を問わず、災害時における人々の生活と生命を守る指針の一つとなることを目指す。従来の研究史では、町内会は第二次大戦下、戦時国家体制を支えたとされた。仮に町内会がなければ、国民生活はより壊滅的でパニック状況に陥り、戦後の復興は遅れたであろう。戦時下の町内会は、人々の生活と生命を守るために、地域の実情と特徴に合わせた創意工夫ある働きを行った。その全国的実態の解明を行う。
著者
白木澤 涼子
出版者
北海道大学大学院経済学研究院
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.93-122, 2021-12-14

1940年制定の「部落会町内会等整備要領」(内務省訓令第一七号)により,新たに部落会・町内会が創設された。筆者はかつて,これらは行政法上,法制化ではなく訓令という形を採らざるを得ず,それが法制化なき明治地方自治体制の変容をもたらしたとした。しかし,1942年に部落会・町内会の法制化が俎上に上る。「部落会町内会ノ法制化ヲ必要トスル理由」(「部落会町内会等ニ関スル訓令通知綴」[1942](「JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A20040043500,表紙・目次(国立公文書館)」,画像36-48)では,「市町村自治ノ部落会町内会ヘノ実質的移行トニ伴ヒ」,部落会・町内会を「嘗ツテ市町村ヲ法制化シタルト同一ノ理由ニ依リ之ヲ法制化」するという。「自治ノ移行」とは何かを解き明かすことが,明治地方自治体制の「自治」を明らかにすることとなるのではないだろうか。本稿では,当時の内務省が「自治」をどのように捉え,どのように改変しようとしていたのかを「部落会町内会ノ法制化ヲ必要トスル理由」を中心に考察した。その結果,1943年市制町村制中改正法で,部落会・町内会が市制町村制と同じ「法人化」ではなく,曖昧な形で「法制化」され,同時に明治地方自治体制が再編されたことを論じた。
著者
白木澤 涼子
巻号頁・発行日
2017-03-23

北海道大学. 博士(経済学)