著者
横井 輝夫 佐藤 典子 益野 淳子 郷間 英世
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.343-347, 2004
参考文献数
18
被引用文献数
1

離乳期の口腔機能に停滞していると考えられる重症心身障害児・者の適切な食形態の基礎資料を得るために,口腔機能の発達段階と食形態のレベルについて実態を調査した。対象は3歳から55歳(平均年齢28.1歳)までの摂食・嚥下障害が疑われる重症心身障害児・者92名である。方法は離乳の初期,中期,後期に特徴的にみられる口腔機能である舌運動と顎運動を評価し,提供されている食形態のレベルとの関連を調べた。結果,舌運動と顎運動については大多数が離乳中期までの段階に停滞していた。一方,離乳後期以降の食形態が主食で3割,副食で8割の者に提供されていた。全体的に舌運動と顎運動の機能に対し有意にレベルの高い食形態が提供されていた。口腔機能は,食形態や摂食姿勢などの食事環境との相互作用で発達していく。誤嚥性肺炎や食べる楽しみの喪失などを予防するために,口腔機能の発達段階に適した食形態のレベルについての再考が必要であると考えられた。