著者
盛岡 頼子 佐藤 弘
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.371-378, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

成人の虚弱者の症状について,問診表より調査を行なった。対象は筆者の外来を受診した患者のうち,「虚弱」と判断した39人(男性3人,女性36人,24歳から67歳)である。疲労感を伴う疾患を除外し,疲れやすく,通常の人では影響を受けないような外界の変化やストレスによって体調を崩しやすい人を「虚弱」とした。虚弱者の症状で,疲れやすいこと以外に最も多かったのは冷えに関する症状で6割以上に見られた。その他,肩こり,首のこり,腰痛など筋肉のこりや痛みを有するもの,食べ過ぎると調子を崩すもの,良好な睡眠が取れていないもの,頭痛,目の疲れ,めまいなど頭頸部の症状を持つものが多かった。問診表により虚弱者が多く有する症状の傾向については把握できたが,一方,主訴に関しては非常に多彩であることがわかった。これらの結果を虚弱者の診断,治療に役立てたい。
著者
新井 信 久米 由美 盛岡 頼子 岡部 竜吾 溝部 宏毅
雑誌
漢方の臨床 (ISSN:0451307X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.751-753, 2010-05-25
参考文献数
4
著者
盛岡 頼子 佐藤 弘 代田 文彦 山内 浩
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.845-849, 1999-03-20
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

肝硬変による腹水の治療は困難なものが多いが, 腹部症状を目標に大建中湯を用いて腹水が消失した症例を経験した。症例は67歳, 女性, 胃癌手術の際にC型慢性肝炎が発見され, 胃癌の術後より腹水が出現し, 利尿剤を投与されたが, 腹水貯留は著明で, 腹壁瘢痕ヘルニアのため2回手術が行なわれた。開腹時の肉眼所見では肝硬変像を呈していた。食欲不振, 易疲労が改善しないため, 漢方外来を受診した。補中益気湯, 五苓散, 小建中湯などを投与したが, 効果はみられなかった。しかし腹部の冷え, 腹鳴を目標に大建中湯を投与したところ, 腹部症状は改善し, 腹水が徐々に減少し, 腹部超音波検査でも消失し, 利尿剤も中止することができた。大建中湯による腹水消失の報告は調査した範囲ではみられず, 興味ある症例と考えられ報告した。漢方では患者の訴える症状や所見を注意深く観察し処方を決めていくことが重要と思われた。
著者
盛岡 頼子 佐藤 弘 代田 文彦 山内 浩
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.845-849, 1999-03-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

肝硬変による腹水の治療は困難なものが多いが, 腹部症状を目標に大建中湯を用いて腹水が消失した症例を経験した。症例は67歳, 女性, 胃癌手術の際にC型慢性肝炎が発見され, 胃癌の術後より腹水が出現し, 利尿剤を投与されたが, 腹水貯留は著明で, 腹壁瘢痕ヘルニアのため2回手術が行なわれた。開腹時の肉眼所見では肝硬変像を呈していた。食欲不振, 易疲労が改善しないため, 漢方外来を受診した。補中益気湯, 五苓散, 小建中湯などを投与したが, 効果はみられなかった。しかし腹部の冷え, 腹鳴を目標に大建中湯を投与したところ, 腹部症状は改善し, 腹水が徐々に減少し, 腹部超音波検査でも消失し, 利尿剤も中止することができた。大建中湯による腹水消失の報告は調査した範囲ではみられず, 興味ある症例と考えられ報告した。漢方では患者の訴える症状や所見を注意深く観察し処方を決めていくことが重要と思われた。