著者
加戸 陽子 松田 真正 眞田 敏
出版者
岡山大学教育学部学術研究委員会
雑誌
岡山大学教育学部研究集録 (ISSN:04714008)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.35-42, 2004-03-10

ウィスコンシンカード分類テスト(WCST)には種々の手法があり,これらの異なる手法に基づく研究成績の解釈は必ずしも容易ではない。そこで,本研究はWCSTの諸手法の変遷を整理するとともに,脳機能画像研究によるWCST遂行中の脳機能局在の解明に関する研究および発達障害への臨床応用に関する研究動向についても展望することを目的とした。WCSTは1948年のBergによる最初の報告以降,反応カード数や教示法,評価手続きなどの違いによる種々の異なる手法が存在し,さらにコンピューターによる新たな形式が開発されており,従来の手法との検査成績の異同の解明は未だ不十分である。画像検査では前頭連合野の背外側部における活性化が示され,ワーキングメモリーや抑制系との関連が推測された。発達障害児・者を対象とした臨床応用では,障害種および亜型による成績の相違や発達的変化などに関する知見が報告されているが,手法の違いに基づく違いについても考慮する必要性が指摘された。
著者
加戸 陽子 眞田 敏 齋藤 公輔 眞田 敏
出版者
関西大学人権問題研究室
雑誌
関西大学人権問題研究室紀要 (ISSN:09119507)
巻号頁・発行日
no.66, pp.1-21, 2013-09

Aspergerが自閉的特徴に関する最初の報告を行った人物であるという認識は広まりつつある。本論文では、1930年代のオーストリアにおいて治療教育の拠点となり、Asperger自身も主任を務めたウィーン大学小児病院治療教育部門への、Michaelsによる視察の報告を中心にその取り組みを概観した。また、1938年のAspergerの講演論文中の自閉的精神病質と思われる1症例に関する記述部分を邦訳し、その臨床像の解釈を行った。さらに、米国で最初に自閉症に関する報告を行ったKannerの見解に対するAspergerの論文の影響についても論じた。
著者
平澤 利美 眞田 敏 柳原 正文 三宅 馨 津島 靖子 加戸 陽子 荻野 竜也 中野 広輔 渡邊 聖子 大塚 頌子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.421-426, 2010 (Released:2015-11-21)
参考文献数
14

6~14歳のIQを統制した無投薬の注意欠陥/多動性障害児23名と, 年齢および性を一致させた健常児69名を対象に改訂版Stroopテストを行った. 全注意欠陥/多動性障害群は, 干渉効果を評価するIncongruent Color Naming (ICN) およびICN-Color Naming (CN) の課題達成所要時間において対照群との間に有意差を認めた. さらに, サブタイプ別の検討でも, 学習障害併存症例を除外した15名での分析の結果, 不注意優勢型群と多動性-衝動性優勢型および混合型合併群ともに, ICN-CNの課題達成所要時間において対照群との間に有意差を認め, 不注意に関わる要因の干渉課題成績への影響が示唆された.
著者
平澤 利美 眞田 敏 柳原 正文 津島 靖子 加戸 陽子 荻野 竜也 中野 広輔 渡邊 聖子 大塚 頌子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.426-430, 2009 (Released:2016-05-11)
参考文献数
19

改訂版Stroopテストにおける年齢別の標準値を得るとともに, 干渉効果に関する指標の発達的変化について検討することを目的とし, 6~20歳までの健常児 (者) 281名を対象に検査を行った. Incongruent Color Naming (ICN), ICN - Color Naming (CN), ICN/CNなどの干渉効果に関する各指標の年齢による変化について単回帰分析を行った. その結果, 各指標において年齢による変化を認め, 各指標成績が示す最良値は16~17歳台であることが示され, 干渉課題の遂行には, 発達の完了が遅い脳局在や機能システムが関与していることが示唆された.
著者
加戸 陽子 齋藤 公輔 Johannes Plan 眞田 敏
出版者
関西大学人権問題研究室
雑誌
関西大学人権問題研究室紀要 (ISSN:09119507)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.1-21, 2013-09-30

Aspergerが自閉的特徴に関する最初の報告を行った人物であるという認識は広まりつつある。本論文では、1930年代のオーストリアにおいて治療教育の拠点となり、Asperger自身も主任を務めたウィーン大学小児病院治療教育部門への、Michaelsによる視察の報告を中心にその取り組みを概観した。また、1938年のAspergerの講演論文中の自閉的精神病質と思われる1症例に関する記述部分を邦訳し、その臨床像の解釈を行った。さらに、米国で最初に自閉症に関する報告を行ったKannerの見解に対するAspergerの論文の影響についても論じた。