著者
斉藤 幸一 仁志田 博司 真崎 義彦 八代 公夫
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.523-529, 1992-10-31
被引用文献数
1

皮膚血流循環の体温調節や diving reflex を介する生体防護機構等に関する生理的な重要性については古くから検討されており,その臨床的意義についても良く認識されている。新生児において状態悪化の最初は,なんとなく色が悪いという漠然とした所見であり,その客観的な評価法は皮膚血流循環の測定であることが知られている。しかし,その測定法は操作性,連続性,安全性の面において未だ臨床に使用されうるにいたっていない。今回,我々は経皮的酸素分圧装置の一部である電極が皮膚をある一定温度に加温し続けるために必要な電力 (heating power) が皮膚末梢循環を反映することが可能か否かについて人前腕および雑犬を使用し検討を加えた。
著者
佐藤 光史 横田 和彦 内田 久則 吉田 宗紀 大宮 東生 大場 正己 阿曽 弘一 藤田 芳邦 矢島 義忠 真崎 義彦
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.493-498, 1981-10-31

30頭の雑種成犬を用い,血管吻合による同種膵移植実験を行なった。15頭のdonorとして用いるイヌに気管内挿管による全身麻酔を施行し,腹部正中切開で開腹した。門脈ならびに腹腔動脈,上腸間膜動脈を含め全膵を摘出し,門脈ならびに腹腔動脈より4℃乳酸加リンゲル液を用い膵を灌流した。15頭のrecipient犬も全身麻酔下で腹部正中切開で開腹し腹腔内に膵移植を施行した。donorの門脈をrecipientの下大静脈に,donorの腹腔動脈と上腸間膜動脈の起始部をrecipientの腎動脈分岐より下の大動脈に吻合した。空腸はRoux-en Y脚とし,主膵管と副膵管をそれぞれ空腸と吻合し,さらに胆嚢空腸吻合,胃空腸吻合を施行した。recipientの死因は膵炎,術後腹腔内出血,血管吻合部血栓による膵壊死が多かった。9日以上生存したイヌは6頭であり,免疫抑制剤を用いなかったrecipient 5頭の平均生存日数は12.8±3.4 (M±SD)日であった。血管吻合,膵管空腸吻合による膵移植実験は可能性があり,臨床応用にとっても良い方法であると考えている。