著者
佐藤 光史
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.40-44, 2000-01-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
5

味覚は, 多くの化学物質を複合的に受け入れることによって成り立っている。味覚の分子生理学的な研究は近年著しく発展しており, 物質の構造と味覚との関わりを明かす化学の役割も増している。さまざまな化学物質の中でも, 基本味の一つであるうま味の主役であり, かつ食べ物の味を決定する上で大切な役割を果たすアミノ酸を中心に味覚と化学を論じた。特にその甘さや苦さに焦点を当てて, 化合物の立体化学や疎水性, 親水性といった基礎的な知識と味覚との関連について, 実用例を紹介しながら解説した。
著者
柿田 章 伊藤 徹 阿曾 和哲 佐藤 光史 高橋 毅 柿田 章 伊藤 義也
出版者
北里大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

本研究では移植用肝臓の保存時間の延長を目指して、保存液を加圧することによって凝固点以下の温度でも保存液の過冷却(非凍結)状態を維持、それによって肝臓の凍結・解凍に纏わる傷害を克服する保存法の方法論を確立するために基礎的研究を継続してきた。最終年度の平成11年度は、「加圧」が保存液の「過冷却状態の安定維持」に実際に寄与するか否かに関する実験を行った。その結果、実際に使用したUW液の、常圧、5、10、15MPaにおける凝固点はそれぞれ、-1.2+/-0.0、-1.5+/-0.1、-2.1+/-0.1、-2.5+/-0.1℃(n=6)、過冷却温度は、-4.0、-4.5+/-0.4、-4.8+/-0.8、-5.5+/-0.4℃であった。すなわち、加圧によるUW液の凝固点の降下に伴って過冷却温度も低下することが実証された。また、前年度までの実験では、肝臓が0℃・1時間の保存条件では最大35MPaまでの加圧に耐えて移植後も個体の生命を維持できること、また、加圧による傷害が加圧速度および加圧保存時間依存性であることが、移植後の生存成績や電顕による形態学的変化の観察などから明らかとなっている。加えて、肝臓は5Mpa・-2℃の条件では6時間の長時間保存に安全に耐えられる(移植後生存率100%)という成績が得られている。以上の実験結果は、凍害防止剤や浸透圧調節剤などを使用せず加圧のみによって、移植用肝臓を5MPa・-4.5℃付近まで過冷却(非凍結)状態に保存することが可能であることを示すものである。これらの結果を踏まえ、今後、肝臓の-4.5℃付近での過冷却長時間保存に向けて、氷点以下の低温の細胞・組織に対する傷害機構や至適保存液の物理化学的組成などの課題を解決すべく研究を進める予定である。
著者
矢野 重信 小宮 克夫 加藤 昌子 塚原 敬一 佐藤 光史
出版者
奈良女子大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1991

当研究室では生体中での酵素系の作用機序を念頭において、アミノ酸や糖質などの生体関連物質と遷移金属イオンとの相互作用に対して配位立体化学的に詳細な検討を行い、それらに高度な立体化学制御機能を賦与することを目指し研究を進めてきた。本研究では、我々のこれまでの蓄積を基盤にして、分子識別能を有する金属錯体を設計し立体化学制御に関する知見を広げ、さらに当研究室で独自に開発した金属錯体の化学修飾法を用いて金属錯体を機能素子とする高分子錯体等の高機能性複合系の開発を目指し研究を行った。まず光学活性なポリアミンとエチレンジアミン二酢酸型配位子の混合配位Co(III)錯体の立体化学制御機構について詳細に検討した。その結果複数個の配位窒素原子に対するアルキル基の位置選択的置換により金属錯体の絶対配置を高度に制御できることを明らかにした。また分子間の水素結合を介する分子識別能を有する金属錯体の設計を目指して、二糖のNi(II)グリコシルアミン錯体の合成とキャラクタリゼーションを行った。良好な結晶が得られたD-マルトース錯体についてX線結晶構造解析を行った。その結果、二糖分子内での水素結合が見られた他、錯体分子が糖ユニットの水酸基間での水素結合を介して二量化していることが判明し、金属錯体による分子識別能の発現にとって重要な知見を得た。さらに非配位の水酸基を有するポリアミノポリカルボン酸を配位子とする陰イオン性Co(III)錯体に対し、当研究室で独自に開発したクリプタンド可溶化法を用いる各種酸無水物との反応により錯体の非配位の水酸基を反応点とするエステル化に成功した。脂肪酸無水物の場合には水中でミセル形成能を示す金属錯体をヘッドグループとする新規界面活性剤の開発に成功した。さらに高分子化可能なクロトン酸およびメタクリル酸残基が連結した錯体の合成にも成功した。以上の知見を基に金属錯体の高電子化について検討している。
著者
佐藤 光史 横田 和彦 内田 久則 吉田 宗紀 大宮 東生 大場 正己 阿曽 弘一 藤田 芳邦 矢島 義忠 真崎 義彦
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.493-498, 1981-10-31

30頭の雑種成犬を用い,血管吻合による同種膵移植実験を行なった。15頭のdonorとして用いるイヌに気管内挿管による全身麻酔を施行し,腹部正中切開で開腹した。門脈ならびに腹腔動脈,上腸間膜動脈を含め全膵を摘出し,門脈ならびに腹腔動脈より4℃乳酸加リンゲル液を用い膵を灌流した。15頭のrecipient犬も全身麻酔下で腹部正中切開で開腹し腹腔内に膵移植を施行した。donorの門脈をrecipientの下大静脈に,donorの腹腔動脈と上腸間膜動脈の起始部をrecipientの腎動脈分岐より下の大動脈に吻合した。空腸はRoux-en Y脚とし,主膵管と副膵管をそれぞれ空腸と吻合し,さらに胆嚢空腸吻合,胃空腸吻合を施行した。recipientの死因は膵炎,術後腹腔内出血,血管吻合部血栓による膵壊死が多かった。9日以上生存したイヌは6頭であり,免疫抑制剤を用いなかったrecipient 5頭の平均生存日数は12.8±3.4 (M±SD)日であった。血管吻合,膵管空腸吻合による膵移植実験は可能性があり,臨床応用にとっても良い方法であると考えている。