著者
臼田 慎 河奈 裕正 加藤 仁夫 城戸 寛史 佐藤 淳一 式守 道夫 関根 秀志 高橋 哲 藤井 俊治 矢島 安朝 瀬戸 晥一
出版者
公益社団法人 日本顎顔面インプラント学会
雑誌
日本顎顔面インプラント学会誌 (ISSN:1347894X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.89-100, 2017-08-25 (Released:2018-12-25)
参考文献数
2

目的:インプラント手術に関する重篤な医療トラブルは,社会問題とも言われている.そこで日本顎顔面インプラント学会では関連施設でのアンケート調査を行い,2009年1月より2011年12月末までを対象とした前回調査結果との比較検討を含めて報告する. 方法:本学会認定118施設の2012年1月1日より2014年12月末日までの3年間におけるインプラント手術関連の重篤な医療トラブルのアンケートを回収し分析した. 結果:回収率は89.0%で3年間の合計発生件数は360件であった.主な発生項目は上顎洞炎73件(20.3%),次いで下歯槽神経損傷68件(18.9%),3番目が上顎洞内インプラント迷入67件(18.6%),4番目が心身医学的障害45件(12.5%),5番目がオトガイ神経損傷33件(9.2%)であった. 結論:トラブル発生件数は前回調査の471件から360件と減少した.発生項目の上位5項目は前回調査と順序が異なるものの同じ項目であった.
著者
矢島 安朝 伊藤 太一 古谷 義隆 本間 慎也 佐々木 穂高 鈴木 憲久
出版者
東京歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

近年、インプラント治療患者の年齢層が高齢化により口腔癌の好発年齢に一致してきている。「field cancerization」という概念より、常に慢性炎症の環境下にあるインプラント周囲上皮は、発癌のリスクが高いと考えられる。この仮説をもとに我々は、4NQOを用いた自然発癌モデルラットを使用し、インプラント周囲口腔粘膜と癌の相関性について検討した。6ヶ月間の4NQO投与によってインプラント周囲上皮の発癌は認められなかったが、対象群と比較して、N/C比の増大や異型核分裂などの細胞異型が多く見られた。この結果から、インプラント周囲上皮は発癌リスクが高い可能性が示唆され、さらに長期的な観察によって明らかになると考えられた。