著者
伊藤 太一
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 = Journal of the Japanese Forest Society (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.125-135, 2009-04-01
参考文献数
38
被引用文献数
4

近年自然地域におけるレクリエーションのための入域や施設利用, インタープリテーションなどのサービスに対する費用負担が国際的課題になっているが, 日本では山岳トイレなど特定施設に限定される。ところが, 江戸時代の富士山においては多様な有料化が展開し, 登山道などの管理だけでなく地域経済にも貢献し, 環境教育的活動の有無は不明であるが, 環境負荷は今日より遙かに少なくエコツーリズムとしての条件に合致する。そこで本論ではレクリエーション管理の視点から, 登山道と登山者の管理およびその費用負担を軸に史料を分析し, 以下の点を明らかにした。1) 六つの登山集落が4本の登山道を管理しただけでなく, 16世紀末から江戸などで勧誘活動から始まる登山者管理を展開することによって, 19世紀初頭には庶民の登山ブームをもたらした。2) 当初登山者は山内各所でまちまちの山役銭を請求されたが, しだいに登山集落で定額一括払いし, 山中で渡す切手を受け取る方式になった。さらに, 全登山口での役銭統一の動きや割引制度もみられた。3) 同様に, 登山者に対する接客ルールがしだいに形成され, サービス向上が図られた。4) 一方で, 大宮が聖域として管理する山頂部では個別に山役銭が徴収されるという逆行現象もみられた。
著者
伊藤 太一郎 中村 孝 神澤 公 藤村 紀文
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

次世代の強誘電体不揮発性メモリーとして嘱望されている、MFS型FETの実用化に向けた検討を行った.現在我々が提唱しているMFS型FETのための物質は、YMnO_3であるが、実用化に向けていくつかの問題点が生じていた.大きなリ-ク電流、小さな残留分極である.この原因を探るために、様々な角度から検討を行った.単結晶上やPt基板上に作成されたYMnO_3薄膜はデバイスとして十分に機能する0.2μC/cm^2程度の残留分極値を示すが、Si直上に成長させた試料においては結晶性が悪く残留分極を示さなかった.いくつかの界面修飾を検討した結果、還元のY-Mn-OやY_2O_3が界面層として結晶性の向上に効果があることがわかった.これらの界面層を付加することによって、Si表面のキャリアを制御できることが確認された.そのときのメモリーウインドウ幅は1.1Vであった.これらの試料を用いて詳細なC-V特性、パルス特性等の電気特性の検討を行った結果、MFS型FETの基本的な動作は確認されたもののいくつかの問題点を明らかにすることができた.一番大きな問題点は保持特性が悪いことである.リ-ク電流が原因と考えられる.そこでパルク試料を用いてリ-ク電流の原因を探った.その結果、リ-ク電流はMnの価数揺動に起因しており、またそれはAサイトをYbと置換すること、Zrのド-ピングによって低減することが明らかにされた.また、AサイトのYB置換によってプロセス温度の低下が確認された.YbMnO_3Zrの薄膜化の検討を始めたところであるが、RMnO_3を用いたMFS型FETデバイスは実用化へ大きく前進した.
著者
松井 健一 増田 美砂 杉藤 重信 伊藤 太一 渡邉 和男 西川 芳昭
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

環境ガバナンスに資するデータベースの概要を研究代表者が管理するウェブサイトに構築するとともに、伝統知とその法的問題点について査読入り学術図書1冊と当該課題に関する査読入り学術論文を4本出版した。学会発表は7回行った。また、毎年著名な研究者を筑波大学と国連大学高等研究所へ招へいし、シンポジュウムと研究者交流を行い、オーストラリア、カナダ、アメリカ、ドイツ、インド、ブラジルの研究者との共同研究へとつなげることができた。当該課題に関する修士論文を3本主査として指導した。
著者
伊藤 太一 楠見 淳子 松本 顕
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2022-06-30

近年我々のグループは刺胞動物のヒドラが眠っていることを分子レベルで実証し、これにより、睡眠の起源は動物が脳を獲得するよりも古いことが示された。そこで、次の問いとして、『神経系は睡眠に必須なのか』を検証する。ヒドラでは薬剤処理によって神経系を喪失させることが可能である。この全く動けない『寝たきり』状態のヒドラが眠っているのかどうかを分子レベルで判定し、睡眠には神経系が必須要素なのかどうかを判断する。これは、これまで当然と考えられてきた「睡眠は神経系が担う」という通説に挑む研究である。
著者
伊藤 憲佐 中山 恵美子 梶川 奈津子 清水 翔志 野田 剛 中村 隼人 村中 清春 林 真也 伊藤 太一 中井 智子 田中 研三 大橋 正樹 不動寺 純明 葛西 猛
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.419-426, 2011-10-20 (Released:2020-09-11)
参考文献数
36

鈍的胸部外傷による肋骨骨折患者の入院日数と, 初診時に得られる臨床情報について重回帰分析を行い, 入院日数の推定式を構築することを目的とした後ろ向き研究である. 肋骨骨折にて入院した患者92例を対象とし入院日数と, 性別, 年齢, HR, SBP, 血気胸の有無, 胸腔ドレーン挿入の有無, 硬膜外麻酔・神経根ブロックの有無, 肋骨骨折の本数を調査した. これらの項目に対し入院日数を目的変数として, 探索的に重回帰分析を行った. 最終的に推定入院日数=4.9+肋骨骨折の本数×0.9日に, 年齢が60歳以上の場合, +3.3日, 胸腔ドレーン挿入が施行された場合, +3.6日が加算される, 単回帰推定式が得られ, 95%信頼限界は±15.6日であった. この推定式により鈍的胸部外傷による肋骨骨折患者の入院日数が, 初診時に得られる情報から推定可能と思われる. また入院期間を短縮するためには肺炎の予防が重要である事が暗示された.
著者
神宮 翔真 佐方 啓介 伊藤 太一
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.725-728, 2019-03-29 (Released:2019-07-03)
参考文献数
15
被引用文献数
5 1

For the purposes of biodiversity conservation and wildlife management it is becoming increasingly important to monitor mammals in urban environments as well as protected areas. While previous studies suggested road kill records collected by local governments as useful information sources to monitor urban wildlife populations, it is essential that the utility of road kill records are evaluated. In this study, we focused on the characteristics of road kill records’ locations with its surrounding land use and roads, and compared its output with existing research. We found through the analysis of 997 mammalian road kill records of 10 species, that they were most commonly located at the vicinity of multiple-laned busy roads. Furthermore, road kill density distribution trends did not differ greatly between forested, agricultural or urban areas, with the majority in close proximity to each land use type. Our findings show that local government road kill records agree more with existing wildlife research results than citizen-reporting bias. We conclude the utility of road kill records are sufficient to monitor mammals in urban setups.
著者
伊藤 太一
出版者
京都大学農学部附属演習林
雑誌
京都大学農学部演習林報告 (ISSN:0368511X)
巻号頁・発行日
no.65, pp.p310-324, 1993-12
被引用文献数
1

1892年に設置されたニューヨーク州立アディロンダック公園は今日においても6割近く私有地を含む地域制の公園である。約4割を占める州有地は1895年に州憲法で自然状態を保つことが規定された保護林であるが, それ以来その利用をめぐって改憲論議が展開されてきた。その過程を探ることによって, 水源涵養を中心とする功利主義的な保全からレクリエーション空間としての保全へ, さらに生態系のプロセス保全にいたる, 保護林のあり方を巡る人々の考え方の展開が明らかになった。一方, 公園内の私有地は少しづつ買収されていったが, 全部を買収することは当初から断念されていた。私有権の強固なアメリカの伝統を反映して, 私有地においては野外広告以外ほとんど規制されない状態が続いた。その結果, 特に第二次大戦以降, ディベロッパーによって細分化され別荘地として分譲されていくという無秩序な開発が問題となった。この間題に対処すべく1971年にアディロンダック公園事務所が設置され, ゾーニングによる私有地の土地利用基本計画が1973年に定められた。しかし, これは地元住民との対立を生じ, 地元経済の活性化と公園の自然環境保全の共存の道が探られるようになった。
著者
伊藤 太一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.41-44, 1995-03-31
参考文献数
42

ニューヨーク州北部のアディロンダック公園は, 1885年に保護林となり全面積の42%を占める州有林と, 残り58%を占める民有地から構成される地域制の州立公園として1892年に設置された。1967年にこの中心部の国立公園化が提案がされた。結局, この提案は拒絶されたが, 公園管理において民有地の土地利用規制が不可欠と認識されるようになり, その後の公園内の土地利用規制法とその管理組織の発足を促した。また, 議論の過程で人々のウィルダネスへの関心の高まりが明らかになり, 利用志向であった国立公園のありかたが批判される契機にもなった。
著者
神宮 翔真 武 正憲 佐方 啓介 伊藤 太一
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.703-708, 2018-03-30 (Released:2018-07-17)
参考文献数
23
被引用文献数
2

This study identified change of vegetation and management affected by change in use objective from farm forest to forest park. We focused on the "Ushiku Nature Sanctuary" where a farm forest was re-developed for recreational use. Spatial and temporal analysis, interviews with relevant parties and bibliographic investigation revealed that diverse vegetation originated differently in the two forests. In the farm forest, varied landscapes of different vegetation types resulted from mosaic-patterned utilization of forest products, such as periodic logging and floor vegetation collection. In contrast, different vegetation communities formed diverse landscapes in Nature Sanctuary with the aim of creating a variety of nature experiences for visitors. Amongst such experiences, farm forest landscape was included, which we found it took a substantial proportion of management efforts. However, we also found that the Nature Sanctuary management did not include logging, despite its importance for landscape maintenance. These results suggest that inclusion of logging regime is necessary in the management plan in order to revive farm forest vegetation and resulting landscape.
著者
伊藤 太一
出版者
日本森林学会
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.125-135, 2009 (Released:2011-04-05)

近年自然地域におけるレクリエーションのための入域や施設利用、インタープリテーションなどのサービスに対する費用負担が国際的課題になっているが、日本では山岳トイレなど特定施設に限定される。ところが、江戸時代の富士山においては多様な有料化が展開し、登山道などの管理だけでなく地域経済にも貢献し、環境教育的活動の有無は不明であるが、環境負荷は今日より遙かに少なくエコツーリズムとしての条件に合致する。そこで本論ではレクリエーション管理の視点から、登山道と登山者の管理およびその費用負担を軸に史料を分析し、以下の点を明らかにした。1)六つの登山集落が4本の登山道を管理しただけでなく、16世紀末から江戸などで勧誘活動から始まる登山者管理を展開することによって、19世紀初頭には庶民の登山ブームをもたらした。2)当初登山者は山内各所でまちまちの山役銭を請求されたが、しだいに登山集落で定額一括払いし、山中で渡す切手を受け取る方式になった。さらに、全登山口での役銭統一の動きや割引制度もみられた。3)同様に、登山者に対する接客ルールがしだいに形成され、サービス向上が図られた。4)一方で、大宮が聖域として管理する山頂部では個別に山役銭が徴収されるという逆行現象もみられた。
著者
伊藤 太一
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.125-135, 2008 (Released:2009-07-22)
参考文献数
38
被引用文献数
1 4

近年自然地域におけるレクリエーションのための入域や施設利用, インタープリテーションなどのサービスに対する費用負担が国際的課題になっているが, 日本では山岳トイレなど特定施設に限定される。ところが, 江戸時代の富士山においては多様な有料化が展開し, 登山道などの管理だけでなく地域経済にも貢献し, 環境教育的活動の有無は不明であるが, 環境負荷は今日より遙かに少なくエコツーリズムとしての条件に合致する。そこで本論ではレクリエーション管理の視点から, 登山道と登山者の管理およびその費用負担を軸に史料を分析し, 以下の点を明らかにした。1) 六つの登山集落が4本の登山道を管理しただけでなく, 16世紀末から江戸などで勧誘活動から始まる登山者管理を展開することによって, 19世紀初頭には庶民の登山ブームをもたらした。2) 当初登山者は山内各所でまちまちの山役銭を請求されたが, しだいに登山集落で定額一括払いし, 山中で渡す切手を受け取る方式になった。さらに, 全登山口での役銭統一の動きや割引制度もみられた。3) 同様に, 登山者に対する接客ルールがしだいに形成され, サービス向上が図られた。4) 一方で, 大宮が聖域として管理する山頂部では個別に山役銭が徴収されるという逆行現象もみられた。
著者
矢島 安朝 伊藤 太一 古谷 義隆 本間 慎也 佐々木 穂高 鈴木 憲久
出版者
東京歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

近年、インプラント治療患者の年齢層が高齢化により口腔癌の好発年齢に一致してきている。「field cancerization」という概念より、常に慢性炎症の環境下にあるインプラント周囲上皮は、発癌のリスクが高いと考えられる。この仮説をもとに我々は、4NQOを用いた自然発癌モデルラットを使用し、インプラント周囲口腔粘膜と癌の相関性について検討した。6ヶ月間の4NQO投与によってインプラント周囲上皮の発癌は認められなかったが、対象群と比較して、N/C比の増大や異型核分裂などの細胞異型が多く見られた。この結果から、インプラント周囲上皮は発癌リスクが高い可能性が示唆され、さらに長期的な観察によって明らかになると考えられた。
著者
武 正憲 神宮 翔真 佐方 啓介 伊藤 太一
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第128回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.792, 2017-05-26 (Released:2017-06-20)

利用者の好む森林景観を把握することで,良好な自然体験を提供できるような適切な登山道整備や管理計画の実施が可能となる。しかし,自然体験が少ない大学生の場合は,これまで好まれるとされてきた森林景観と認識が異なる可能性がある。近年,GPSロガーの低価格化や携帯電話にGPS機能が初期搭載されるようになり,行動記録の取得が容易になった。本研究は,筑波大学生2・3年生向け野外実習での富士山村山古道登山活動を通じて,参加学生が取得したGPS記録を元に,大学生の印象に残った森林景観認識を明らかにすることを目的とした。村山古道は廃道になった参詣道を地元有志が再整備した登山道である。実習で利用した標高1100mから2693m(宝永山)の区間は,原生林,人工林(国有林),参詣道時代の史跡,林業従事者の作業跡,台風による倒木跡などの多様な森林景観が存在する。参加学生は,体力および登山経験に応じた班ごとに,印象に残った地点の位置情報を記録した。記録地点の密度分析により,登山道上の倒木,森林限界,台風による倒木跡,史跡などの大きな景観変化点は記録密度が高い一方,人工林内の林相変化点では記録密度が低いことが示された。
著者
吉岡 正三 中山 豊 伊藤 太一郎 高田 勝典
出版者
一般社団法人 軽金属学会
雑誌
軽金属 (ISSN:04515994)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.265-269, 1974-07-30 (Released:2008-10-30)
参考文献数
16

The basal slip of Mg3Cd single crystals was studied in the disordered and the ordered states. Results obtained are as follows:(1) The ordered specimens were very brittle and showed pronounced serrated flow.(2) In the disordered state CRSS depended on temperature below -78°C, while in the ordered state it scarcely depended on temperature.(3) CRSS at 20°C increased from-1.3kg/mm2 in the disordered state to-5.0kg/mm2 in the ordered state.(4) Slip lines in the disordered state were straight, coarse and distributed rather uniformly, while in the ordered state they diffused and localized.(5) In the disordered specimens dislocations arranged as pile-up arrays on the basal plane, and few dislocations on the nonbasal planes were observed. While, in the ordered specimens superlattice dislocations were observed on the basal plane where the dislocation density was low, however dislocation tangles consisting of unit dislocations on the basal and nonbasal planes were observed where the dislocation density was relatively high.
著者
田中 伸彦 伊藤 太一
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

「里山」を「人里近くにあって人々の生活と結びついた山や森林」と定義した。その里山を、観光デスティネーション(D)としてとらえ、レジャー観の多様性を体系化し、科学的根拠に基づき計画的提言を行った。内容は1.観光Dとして里山を捉える意義、2.観光学におけるDマネジメントと資源/施設との関連、3.里山観光を巡る興味関心と施策の変遷に関する考察、4.Dとしての里山の地理評価法の開発、5.里山の自然公園管理から構成される。成果としては、市民の里山に関する興味関心の広がりを時系列的に明らかにし、里山観光Dの地理的集散状況の経年変化を定量化する指標を開発し、客観的な里山観光地評価を行うことを可能とした。
著者
伊藤 太一
出版者
森林計画学会
雑誌
森林計画学会誌 (ISSN:09172017)
巻号頁・発行日
no.21, pp.57-68, 1993-12
被引用文献数
2

アメリカの国有林におけるレクリエーション展開過程を,第一次大戦後に初代「レクリエーションエンジニア」として採用されたカーハートの活動を通じて明らかにした。彼はまずホワイトリバー国有林の一部において別荘開発を行なわないという非開発型計画案を提示し実現させた。スペリオル国有林においては一層広大なカヌー地域としての保全を提案した。また,サンイサベル国有林レクリエーション計画策定においては,地域住民によるキャンプ場整備をその中に取り込み,住民参加による国有林レクリエーション開発の先例を打ち立てた。同時に,さまざまな雑誌にレクリエーションを推進する論説を掲載し,森林官のみならず一般民衆にもその支持を訴えた。だが,森林官によって構成される組織の中でレクリエーションに対する合意を短期間で形成することは困難であった。一部の森林官はレクリエーション需要の増大を認識し,その予算や専門家による計画の必要を認識したが,森林局としてレクリエーション政策を確立するまでには至らなかった。彼は森林局内部の合意形成に限界を感じ,辞職したが,その後の国有林レクリエーション展開の基盤を作った。
著者
西田 正規 マブラ オグックス スプレイグ デービッド MABULA Audax マブラ オダックス 伊藤 太一 マゴリ C.C. 安仁屋 政武
出版者
筑波大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

今日のアフリカ狩猟採集社会は原初的人類社会の理解に不可欠の情報源である。だがこれらの社会は農耕・牧畜社会と接触し変容してきた歴史があり、原初的社会のモデルにすることに疑いがある。本研究は農耕・牧畜以前のサバンナ狩猟採集社会を復元することでこの問題に解答する。またこの目的を果たすため、タンザニアのセレンゲティ国立公園の地表面に散乱している後期石器時代の石器の分布状況を把握することから約1万年前の狩猟採集社会の空間と資源利用パターンを復元する方法を開発する.3年間の調査でおよそ10000平方キロの範囲を踏査し、50メートル四方の方形区を126ヶ所、それ以外のポイントを約200ヶ所設定し、位置をGPS測量し、地表の石器を採集し、地形、植生、土壌特性を記録した。採集した石器約1万点を筑波大学に持ち帰り分析中である。諸データをGISデータベースに入力中である.すでに把握した点は以下のとおり。1)公園の地表面には前期石器時代から金属器時代までの数十万年にわたる文化遺物が散乱しており、中期および後期石器時代石器の密度が高い。2)前期および中期石器時代石器には公園内に産出するクオ-ツァイトが、後期石器時代石器には黒曜石とクオ-ツが主に使われている。黒曜石の原石は公園内になく、大地溝帯の火山帯から運ばれたと推定できる。3)後期石器時代の石器の分布密度は平方kmあたりおよそ1万点である。4)石器密度は調査方形区により0点から500点以上まで大きく変化する。5)特に高密度に分布する場所を4カ所発見した。いずれも大きな岩に囲まれた場所であり頻繁に人の訪れるキャンプサイトと予想できる。6)河川や池に近い場所の石器密度は比較的高い。7、地表水から遠く離れた場所にも比較的低い密度の分布がある。以上の点を手がかりにGIS上でさらに解析を進め初期の目的を達成する。
著者
渡邉 和男 河瀬 真琴 マシウス ピーター 西川 芳昭 松井 健一 阿部 健一 香坂 玲 阿部 健一 香坂 玲 院多本 華夫 渡邊 高志 磯崎 博司 藤村 達人 箕輪 真理 木村 武史 王 碧昭 伊藤 太一 帳 振亜
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

農業食糧及び薬用遺伝資源の多様性について、国境を超越して生存する少数民族に関わり農家保全の実地・実験調査を実施した。ミャンマー北部、ミャンマー、タイとラオスの国境地帯について山間部を主体に研究を実施した。過剰開発や貨幣経済の浸透、さらに不均衡な情報の供給と啓蒙の欠如で、在来の植物遺伝資源が絶滅危惧になっていることやその伝統的文化に支援された知見が急速に失われてきていることがわかった。モノグラフや公的機関の報告書として情報発信した。