著者
矢崎 美香
出版者
九州女子大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

1. 研究目的現在大学図書館がレファレンス・サービス(参考調査)の際に使用している記録用紙は、学生の質問に対し一問一答に対応する単発的なものである。そのため長期的学習環境にいる学生が満足できる情報支援サービスではない。本研究では、学生の「課題探求能力」育成を重視すべく、レファレンス・サービスの記録を学生の学習効果がわかるポートフォリオ型のレファレンス・カルテ(学生個人別記録)として構築し、教育的にサポート(支援)できるツールとして、その効果と有効性を明らかにすることを目的とした。2. 研究方法(1)図書館情報リテラシー教育(初年次教育、キャリアデザイン授業、図書館活用等)の実施状況及び実施後のレファレンス・カウンターでの学習支援効果を調査。調査結果については、「図書館情報リテラシー教育実施後の学習支援体制について一質問紙調査に基づく考察」(『図書館学』104号2014.4)に発表。(2)レファレンス・カウンターに来た学生の質問・回答を個人別に記録。レファレンス・カルテのモデル様式の項目を抽出。他大学図書館の記録用紙を分析、項目抽出。(3)抽出した項目からレファレンス・カルテのモデル様式の構築。(4)構築したレファレンス・カルテを他大学図書館において試行、効果と有効性を調査した。3. 研究成果本学においては、レファレンス・カルテの導入により、継続的にレファレンス・カウンターを利用する学生に効率良い学習支援が行えた。また、学生はその記録を見ることにより、学習の躓きを自覚する事ができた。さらに、レファレンス・カルテは、教員と図書館の相互指導のコミュニケーションツールとなり、連携(連絡)体制を取ることができた。検証を依頼した大学、短大図書館においても同様の効果を見ることができた。なお、本研究についての成果報告は2014年日本図書館情報学会春季研究集会(2014.5.24)において発表を予定している。