著者
矢澤 健太郎
出版者
日本経営学会
雑誌
經營學論集 第87集 日本の経営学90年の内省と構想【日本経営学会90周年記念特集】 (ISSN:24322237)
巻号頁・発行日
pp.F14-1-F14-8, 2017 (Released:2019-09-26)

本稿は,ニューヨークにある世界一の金融街である「ウォール街(ウォール・ストリート)の現在」を問題として,パターン認識の技術を駆使したクオンツたちのステルス・モデルを,筆者自身の問題としていかに応用し,博士号を取得しても研究職に従事しない「ポスドク問題」に対する筆者自身の考えを述べたものである。 2010年のフラッシュ・クラッシュはクオンツ危機とも呼ばれ,アルゴリズムの異常検知によって危機が生じた。クオンツのモデルは極秘情報として一切公表されないが,極秘であったはずにも関わらず多数のモデルが同時連続的にクラッシュを起こしたという2010年の出来事から,いかなる問題と教訓を読み解くか。筆者は,クオンツ・モデルで駆使されたパターン認識の技術を推測・熟考し,この発展的応用が新しいビジネス創造を生み出すと考え,それは実験室や研究室の垣根を跳び越えた「ポスドク問題」への解決にもつながると思い,筆者自身の考えを述べた。
著者
矢澤 健太郎
出版者
日本経営学会
雑誌
經營學論集 (ISSN:24322237)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.F54-1-F54-7, 2019

<p>留学生の学科に勤めた経験から,日本における外国人雇用の実態を調べ,自分の問題として考えた。ヒトを管理する人的資源管理論において,外国人労働者の管理という問題は,日本の技能実習制度が国際社会から「強制労働」と非難された歴史が示すように,人的資源として管理することが非常に難しい。2018年12月の現在,日本政府は入管法を改正し,深刻な少子高齢化による労働力不足の解消につながる政策の一つとして,単純労働の外国人雇用を拡大するべきという方向に動きつつあるように思える。労働者は人的資源なのであるから,人的資源として管理することの重要性を考え,人間の一人一人が自由にして責任ある体制として管理するという概念を新しく「人本資本」としてとらえることが理想であると思えるが,実現は難しい。本稿では,外国人労働者の問題を手がかりとして,先行研究を整理・検討し,人間を「人本資本」としてとらえることの難しさを述べた。</p>