著者
小橋 吉博 松島 敏春 河原 伸 多田 敦彦 宍戸 眞司 矢野 修一 重藤 えり子 横崎 恭之 冨岡 治明 竹山 博泰 西村 一孝 塩出 昌弘 上田 暢男 倉岡 敏彦 印鍮 恭輔
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR TB AND NTM
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.73, no.12, pp.705-711, 1998-12-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
14

In this study, we investigated 45 foreign patients who had been diagnosed as having tuberculosis in Chugoku-Shikoku area during the past 12 years. Regarding regional characteristics, in Hiroshima prefecture an epidemic of tuberculosis was experienced among patients coming from South America, but antituberculous therapy was performed for 87% of the patients because of the high coverage of the health insurance scheme. But in Okayama prefecture, most of the patients were female and came from Asian countries, such as, the Philippines. Antituberculous therapy was not performed for nine patients because of no coverage of the health insurance scheme. In the other prefectures, only a few cases of tuberculosis were experienced, but in Yamaguchi prefecture two of three foreign patients were multidrug-resistant tuberculosis.
著者
小橋 吉博 沖本 二郎 松島 敏春 重藤 えり子 倉岡 敏彦 竹山 博泰 江田 良輔 矢野 修一 小林 賀奈子 大西 隆行 森 健一 上田 暢男 森高 智典 西村 一孝 阿部 聖裕
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.435-441, 2002-06-15
被引用文献数
8

MAC症に対して, ATSおよび日本結核病学会が提言した治療ガイドラインが臨床上適切かどうか, 過去の治療法との比較も併せ検討した。対象は, 1995年4月から2001年3月までに6カ月以上治療がなされ, 治療開始から12カ月以上経過観察を施行できた肺MAC症159例とした。治療状況は, 抗結核薬。CAM102例, 抗結核薬のみ33例, その他24例であった。治療効果は, 抗結核薬.CAMが菌陰性化率45.1%, 再排菌率39.1%, 臨床的改善率29.4%であった。一方, 抗結核薬のみは菌陰性化率30.3%, 再排菌率70.0%, 臨床的改善率12.1%と不良で, CAMが含まれた治療法で優れた成績が得られていた。次に, 抗結核薬.CAMの治療が行われた102例ではガイドラインに一致した RFP, EB, SM, CAMの治療が41例に施行され, 菌陰性化率58.5%, 再排菌率37.5%, 臨床的改善率36.6%であった。一方, 他の抗結核薬.CAMは61例に施行され, 菌陰性化率36.1%, 再排菌率40.9%, 臨床的改善率24.6%と, ガイドラインに沿った治療法が最も優れた成績であった。<BR>しかし, いまだ肺結核に対する治療効果と比較すると不十分であり, 今後新しい非定型抗酸菌に有効な治療薬の開発が望まれる。
著者
大空 鷹介 矢野 修一
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.87-92, 2008-11-25
被引用文献数
5

半数倍数性の性決定様式を持つナミハダニ雌成虫は未受精では雄しか産めないため,未受精雌の受精を早めるような適応が見られるかもしれない.母子交配が可能なナミハダニでは,この適応が息子の形質にまで影響している可能性がある.そこで,母親の受精の有無が息子の形質に与える影響について,1)母親を早く受精させるため,未受精雌の長男は(受精雌の長男より)早く成長するか,2)未受精雌の息子と受精雌の息子で雌を獲得する能力に差異があるか,3)未受精雌の息子と受精雌の息子で分散性に差があるか,の3つの仮説を検証した.その結果,母親の受精の有無という産卵前の母性効果も,母親が同居したかどうかという産卵後の母性効果も,認められなかった.一方,未受精雌の息子の方が受精雌の息子よりも先に雌をガードすることが多かった.また,分散性も未受精雌の息子の方が高かった.これは,受精雌の息子に比べて未受精雌の息子の周囲にはより低い雌比が予測されるため,未受精雌の息子が雌の探索やガードにより多くのコストを割いている結果だと考えられる.