著者
濱田 麻紀子 植田 聖也 阿部 聖裕 渡邉 彰
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.250-253, 2011-12-28 (Released:2016-07-05)
参考文献数
8

当院に外来通院中の安定期COPD患者16名(男性13名,女性3名,平均年齢70.0±9.7歳)を対象に,運動習慣測定器を用いて,1日の歩数と栄養状態・呼吸機能・ADL・運動耐容能・HRQOLとの関連を検討した.平均歩数4,000歩/日以上の群(H群8名)と4,000歩/日未満の群(L群8名)間で各項目について分析した結果,H群において%FEV1.0,TP値,Alb値,Shuttle Walking Test Distance(SWTD)が有意に高値を示した.また,歩数とSWTDとの間で,強い相関関係(r=0.79)がみられた.さらに,在宅用NRADLの全項目,SF-36v2の,PH(身体機能)・GH(全体的健康感)の2項目でH群が有意に高値を示した.以上より,安定期COPD患者において,1日の歩数を測定することは,運動耐容能やHRQOL等を推測する簡便で有用な一手段になりうる可能性が示唆された.
著者
小橋 吉博 沖本 二郎 松島 敏春 重藤 えり子 倉岡 敏彦 竹山 博泰 江田 良輔 矢野 修一 小林 賀奈子 大西 隆行 森 健一 上田 暢男 森高 智典 西村 一孝 阿部 聖裕
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.435-441, 2002-06-15
被引用文献数
8

MAC症に対して, ATSおよび日本結核病学会が提言した治療ガイドラインが臨床上適切かどうか, 過去の治療法との比較も併せ検討した。対象は, 1995年4月から2001年3月までに6カ月以上治療がなされ, 治療開始から12カ月以上経過観察を施行できた肺MAC症159例とした。治療状況は, 抗結核薬。CAM102例, 抗結核薬のみ33例, その他24例であった。治療効果は, 抗結核薬.CAMが菌陰性化率45.1%, 再排菌率39.1%, 臨床的改善率29.4%であった。一方, 抗結核薬のみは菌陰性化率30.3%, 再排菌率70.0%, 臨床的改善率12.1%と不良で, CAMが含まれた治療法で優れた成績が得られていた。次に, 抗結核薬.CAMの治療が行われた102例ではガイドラインに一致した RFP, EB, SM, CAMの治療が41例に施行され, 菌陰性化率58.5%, 再排菌率37.5%, 臨床的改善率36.6%であった。一方, 他の抗結核薬.CAMは61例に施行され, 菌陰性化率36.1%, 再排菌率40.9%, 臨床的改善率24.6%と, ガイドラインに沿った治療法が最も優れた成績であった。<BR>しかし, いまだ肺結核に対する治療効果と比較すると不十分であり, 今後新しい非定型抗酸菌に有効な治療薬の開発が望まれる。