著者
石 汝杰 中里見 敬 西山 猛
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1.『呉語読本』音声データ作成の準備研究代表者の石汝杰が、7-8月に中国へ渡航し、『呉語読本』の一部について録音を行った。しかし、音声の著作権の問題の解決、および音声データの整理に、さらに時間を要するため、公開には至らなかった。2.『呉語読本』増訂本作成の準備『呉語読本』初版本に未収録で、呉語文献として重要なものを選定し、校訂のうえ電子テキスト化し、注釈作成の準備を行った。この増訂本については、平成16年度の出版をめざして、科学研究費研究成果公開費を申請した。また、これ以外にも、呉語資料を発掘・収集すべく、関連する資料の調査を行った。3.研究会の定期的開催本科研費メンバーを中心に、九州大学の大学院生等を含めて、呉語の研究会を毎週水曜日午後に、定期的に継続して開催した。研究会において上記2の作業を行うとともに、『呉語読本』初版本の一部を日本語に翻訳した。常時参加者は、平田直子(学術振興会特別研究員・北九州大学非常勤講師)、朴春麗(九州大学大学院生)。この研究会は、本研究課題を推進する母体であるとともに、若手の呉語研究者を育成する格好のトレーニングの場ともなった。4.研究成果報告書の作成以上の研究活動の成果として、論文・翻訳編と資料編の2冊からなる研究成果報告書を作成し、呉語研究者・研究機関に送付した。第一冊に収録した論文は、《江蘇新字母》同音字表、川沙方言同音字表(以上、石)、古代漢語文法研究における時期区分の再設定(西山)、呉語小説における内面引用(中里見)、『古今韻表新編』における中古上声全濁音字について(平田)ほかの各編。翻訳は『九尾亀』第163回(一部)、『九美図』第28回除夕、『鉢中蓮』第8出の各編、さらに石による呉語文献書目札記を収めた。第二冊は「蘇州評弾記言記譜」で、蘇州評弾を歌詞と楽譜によって再現するものであり、音声データの書面版ともいえる貴重な記録である。