著者
山名 早人 安江 俊明 石井 吉彦 村岡 洋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.343-353, 1994-05-25
被引用文献数
4

本論文では,並列処理システム上ではFORTRANプログラムを高速に実行する方式として,多段の条件分岐に渡る先行評価を用いたプログラムの並列化と実行方式を提案する.従来,条件分岐を含むプログラムを並列化する手法がいくつか提案されている.先行評価を用いない手法としては,(1)タスクの最早実行条件求出法があり,先行評価を用いる手法としては,(2)スーパスカラプロセッサやVLIW計算機を対象とした条件分岐1段に限った先行評価方式,および,(3)特定のループを対象とした多段の先行評価方式,が提案されている.しかし,(1)最早実行条件を求めるのみでは十分な並列性が得られない.(2)1段の条件分岐の先行評価で得られる速度向上はたかだか2倍である,(3)適用対象が特定ループに限られる,という問題をもつ.これらの問題に対して,本論文では,プログラムをマクロタスクに分割し,マクロタスク間の多段の先行評価方式を一般的な並列処理システム上で定義する.そして,各々のマクロタスクについと,実行開始条件・制御確定条件・実行停止条件を用いたマクロタスクの実行制御手法を提案する.