著者
南角 学 神先 秀人 石倉 隆 川那辺 圭一 中村 孝志
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.121-125, 2005 (Released:2005-07-27)
参考文献数
17
被引用文献数
1 4

本研究の目的は,人工股関節置換術術後早期での歩行中の股関節伸展角度の減少が重心移動に与える影響について検討することである。対象は片側THA術後4週が経過した女性9名と健常女性11名であった。床反力計,3次元動作解析装置を用いて歩行速度,股・膝関節の屈曲-伸展運動,重心移動,各両脚支持期における正の仕事量,一歩行周期及び体重1 kg・進行距離1 m当りの重心の仕事量を算出した。THA群で股関節伸展角度の減少を示し,立脚期での膝の屈曲-伸展運動が認められなかった。また,THA群の各両脚支持期における正の仕事量は,非術側の踵接地後の正の仕事量が術側と比較して有意に低い値を示した。重心移動に関しては,術側の立脚中期の重心位置が非術側と比較して有意に高い値を示した。一歩行周期及び体重1 kg・進行距離1 m当りの重心の仕事量の値から効率良い重心移動が行われていないことを示した。THA術後患者の歩行中における股関節伸展角度の減少は,蹴り出しによる上方への推進力を低下させるとともに,術側立脚期での膝関節のコントロールを阻害し,円滑な重心移動を阻害する一因となることが示唆された。
著者
佐藤 圭祐 石倉 隆 末永 正機
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11674, (Released:2019-12-20)
参考文献数
15

【目的】運動失調症状により運動調節が困難となった症例に対し,免荷式歩行器を使用し,能力の向上をみたので報告する。【症例】30 代男性,くも膜下出血および右延髄小脳梗塞を発症し運動失調が出現。【方法】免荷式リフト「POPO®(モリトー社製)」を使用した歩行練習を実施した。POPO の歩行速度はゆっくりとしたスピードで行った。運動失調の評価は,Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(以下,SARA)を初回と退院時の2 回実施した。【結果】SARA は初回35 点から退院時30 点へと改善し,失調症状の軽減を認めた。Function Independence Measure(以下,FIM)は総合で初回54 点から退院時68 点へ向上した。【結論】免荷式歩行器を用いた理学療法は,オリーブ核を介する運動の誤差修正を必要としない運動が行いやすく,運動失調および運動調整の困難さを軽減させる可能性が示唆された。
著者
佐々木 賢太郎 千田 益生 木下 篤 森 剛士 築山 尚司 太田 晴之 上松 尚代 石倉 隆
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.109-114, 2006 (Released:2006-07-26)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

本研究は,独自に考案した徒手筋力計を用い,多発筋炎8例,皮膚筋炎1例(平均44.8歳,男性3例,女性6例)の頸屈曲,肩関節外転,および下肢伸展挙上筋力の3動作筋力を経時的に測定した。その結果,3動作の総和した筋力は,全例においてクレアチンキナーゼと相関関係を認めた。このことから,3動作の総和筋力は,個人の全身筋力として反映することができ,さらに継時的な測定結果は多発筋炎・皮膚筋炎の病勢を反映するため,急性期のリハビリテーションにおいてその評価と治療効果判定を行う上で有用であることが示唆された。