著者
片山 翔 池田 朋大 太田 晴之 荒嶋 智志 濱田 全紀 千田 益生
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.83-89, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
19

【目的】COVID-19の重症化によりICU管理が必要となった症例に対して,NMESを導入した.感染への対策と実際の方法,臨床経過について報告する.【症例】本症例は70歳代男性であり,COVID-19の診断で当院ICUへ入室した.ICU入室翌日から個人防護服着用下にて理学療法を開始した.第12病日に人工呼吸器管理となりNMESを導入した.【経過】挿管後,筋弛緩剤を併用した腹臥位療法を施行し,機器使用における感染対策・実施プロトコルを設定,NMESを導入した.72日間のICU管理,89日間の人工呼吸器管理を必要としたが第98病日に人工呼吸器を離脱し,離脱後3日目には軽介助レベルで歩行が可能であった.発症後,約6ヶ月後に在宅酸素療法で酸素投与量0.5 L/minを使用し,Barthel Index 95点で自宅退院となった.【結語】重症COVID-19患者へのNMESの使用は感染対策上,安全に実施が可能な介入であり,体位によって制限されることはなかった.そして早期歩行能力の獲得に有用な可能性が示された.
著者
千田 益生 堅山 佳美 兼田 大輔
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.928-933, 2016-12-18 (Released:2017-02-14)
参考文献数
11
被引用文献数
1

肩関節の運動では,肩甲上腕関節,肩鎖関節,胸鎖関節,肩甲胸郭関節などの関節および肩峰下滑液包などが関与している.正常の可動域の獲得には肩甲上腕関節のみならず,肩甲胸郭関節,および脊柱の動きが重要である.肩甲上腕関節を動かす筋群としては,内在筋として肩腱板を形成する棘上筋,棘下筋,小円筋,肩甲下筋があり,外在筋としては三角筋,大胸筋,広背筋,大円筋などがある.肩関節のリハビリテーション(以下,リハ)の基本として,疼痛管理,肩甲上腕関節や肩甲胸郭関節の自動・他動運動の行い方,肩腱板の筋力エクササイズについて記載した.また,日常よく遭遇する肩関節疾患について,疾患の概要とリハについても記載した
著者
千田 益生 則次 俊郎 堅山 佳美 堅山 佳美
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

麻痺した手・指に対する支援システムでは、手関節を固定し、3本の指(母指、示指、中指)で開き、把持するシステムを作成した。ある程度のピンチ力を導出することができた。指機能が失われた脳腫瘍患者に装着してもらい、音声スイッチによる把持動作を練習している。また、脳卒中など痙性麻痺の手に対する研究として、可動域改善目的のシステムも考案した。音声または手動で、患者自身が行う他動的可動域訓練システムである。痙性麻痺に対するボツリヌス毒素を用いた治療法の後療法として、可動域改善エクササイズが必須である。自宅で毎日エクササイズが可能なシステムを構築した。
著者
佐々木 賢太郎 千田 益生 木下 篤 森 剛士 築山 尚司 太田 晴之 上松 尚代 石倉 隆
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.109-114, 2006 (Released:2006-07-26)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

本研究は,独自に考案した徒手筋力計を用い,多発筋炎8例,皮膚筋炎1例(平均44.8歳,男性3例,女性6例)の頸屈曲,肩関節外転,および下肢伸展挙上筋力の3動作筋力を経時的に測定した。その結果,3動作の総和した筋力は,全例においてクレアチンキナーゼと相関関係を認めた。このことから,3動作の総和筋力は,個人の全身筋力として反映することができ,さらに継時的な測定結果は多発筋炎・皮膚筋炎の病勢を反映するため,急性期のリハビリテーションにおいてその評価と治療効果判定を行う上で有用であることが示唆された。
著者
千田 益生
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.85-91, 1987-03-18
被引用文献数
16

試作したバネ式用手力量計を用い, 仰臥位における下肢外転, 下肢伸展挙上(SLR)および両側同時SLRの最大等尺性収縮の力を足関節部で測定した.経年変化の探索は, 体重とKaup指数によって定めた標準体格者626名(11〜79歳)を対象とした.下肢3動作の最大等尺性収縮力値は, 男女とも10歳代後半あるいは20歳代にピーク値を示した.女性では14歳ですでにピーク値に近く, 40歳代までの差がわずかであることが男性と異なった.60歳代の筋力をピーク年代のそれと比較すると, 3動作とも男性では約50%, 女性では約70%であった.性差は11歳群以外にみられ, 3動作ともピーク年代の男女比が2対1で最も差があった.