著者
佐藤 悠子 藤森 研司 石川 光一 佐藤 一樹 石岡 千加史 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.156-165, 2016 (Released:2016-06-13)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

【目的】保険診療情報が格納されたナショナルデータベース(National Data Base,以下NDB)を用いた,終末期がん医療の質の評価の実現可能性と限界を検討した.【方法】NDBのサンプリングデータセット(Sampling Data Set,以下SDS)を用いて,2012年10月の死亡がん患者を対象に死亡14日以内の心肺蘇生術と化学療法の実施率を算出した.【結果】対象者1,233例を解析した.心肺蘇生術と化学療法の実施率は,入院死亡症例(n=1079)で8.2%,3.5%であった.SDSの仕様では,解析対象の化学療法薬剤の27-70%が匿名化されていた.【考察】SDSでは匿名化処理や入院と外来レセプトが紐付けされない等の問題から,過小評価の可能性があり結果の解釈に注意を要する.しかしながら,NDBの特別抽出であればこれらの問題の一部は解決でき,同様の手法で質の評価は可能と考えられた.
著者
小峰 啓吾 石岡 千加史
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.13-17, 2020 (Released:2020-08-24)
参考文献数
7

進行がんの治療は免疫チェックポイント阻害薬などの新しいがん分子標的治療薬の開発により確実に進歩しているが,最近がんゲノム医療が臨床に導入され,いよいよ個別化治療の時代を迎えつつある.臨床研究中核拠点病院である東北大学病院は2017年に個別化医療センターを設置し,がん,生活習慣病や希少疾患のゲノム医療の開発・普及を推進している.また、本院と東北メディカル・メガバンク機構が協力して東北大学に指定国立大学の重点研究プロジェクトとして同年に設置された未来型医療創成センターの運営を開始し,ゲノム医療を含めた次世代医療開発へ取り組みを本格的に開始した.本院は2019年6月がんゲノム医療中核拠点病院に指定され,国内でのがんゲノム医療を中心的に牽引してくこととなった.臨床での運用については治療へのアクセスや二次的所見への対応など様々課題があるが,それらは少しずつ克服されている.