著者
井本 逸勢
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.9-12, 2020 (Released:2020-08-24)
参考文献数
12

次世代シーケンサーによるゲノム解析技術の進歩により大規模ながんゲノム解析の知見が網羅的にカタログ化された結果,個々のがんで生じる遺伝子バリアントを網羅的に解析しその結果に基づいて治療選択を行うクリニカルシーケンスが,がんゲノム医療を牽引する力となっている.しかし,現在のクリニカルシーケンスは,治療薬にたどり着ける可能性の少ない発展途上の診断ツールである.次世代のがんの個別化治療には,様々なオミクス情報を基盤に,がんの分子分類や時間的・空間的不均一性,がん化の分子機序などの理解を深めることで,新たなバイオマーカー,治療薬,治療抵抗性や再発への対応法などの開発を進める必要がある.また,その普及には,低侵襲でリアルタイムな情報提供ツールであるLiquid biopsyの導入や検査コスト削減,治療選択の均てん化に有用な人工知能技術の活用も欠かせない.
著者
小峰 啓吾 石岡 千加史
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.13-17, 2020 (Released:2020-08-24)
参考文献数
7

進行がんの治療は免疫チェックポイント阻害薬などの新しいがん分子標的治療薬の開発により確実に進歩しているが,最近がんゲノム医療が臨床に導入され,いよいよ個別化治療の時代を迎えつつある.臨床研究中核拠点病院である東北大学病院は2017年に個別化医療センターを設置し,がん,生活習慣病や希少疾患のゲノム医療の開発・普及を推進している.また、本院と東北メディカル・メガバンク機構が協力して東北大学に指定国立大学の重点研究プロジェクトとして同年に設置された未来型医療創成センターの運営を開始し,ゲノム医療を含めた次世代医療開発へ取り組みを本格的に開始した.本院は2019年6月がんゲノム医療中核拠点病院に指定され,国内でのがんゲノム医療を中心的に牽引してくこととなった.臨床での運用については治療へのアクセスや二次的所見への対応など様々課題があるが,それらは少しずつ克服されている.