著者
小沼 憲祥 池田 太郎 杉藤 公信 石岡 茂樹 井上 幹也 萩原 紀嗣 越永 従道
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.71-75, 2014-02-20 (Released:2014-02-20)
参考文献数
24

小児腸間膜裂孔ヘルニアは,腸閉塞の原因として稀である.我々は,絞扼性イレウスを伴った小児腸間膜裂孔ヘルニアの1 例を経験した.症例は,2 歳の女児.腸閉塞の診断で当院へ紹介となった.腹部超音波検査とCT 検査にて腸内容の貯留を伴った小腸の拡張と腹水を認めた.絞扼性イレウスの診断で緊急開腹術を施行した.小腸間膜に1×2 cm の欠損孔を認め,欠損孔に130 cm にわたる回腸末端が入り込み壊死していた.小腸壊死部を切除し,欠損孔を修復した.小児腸間膜裂孔ヘルニアについて,文献的考察を含めて報告する.
著者
土方 浩平 細田 利史 石岡 茂樹
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.1141-1145, 2021-12-20 (Released:2021-12-20)
参考文献数
9

作為症/虚偽性障害(いわゆるミュンヒハウゼン症候群)は身体症状を意図的に捏造する疾患であり,小児では稀である.今回,我々は上部消化管出血との鑑別を要した作為症/虚偽性障害の1小児例を経験したので報告する.症例は13歳女児で,黒色便の訴えがあり当院を受診し,上部消化管出血を疑い上部消化管内視鏡検査,腹部造影CT,メッケル憩室シンチグラフィが行われたが,異常所見を認めなかった.外来経過観察中に吐血の訴えがあり,入院の上で上部消化管内視鏡検査,鼻咽頭内視鏡検査を行ったが異常所見を認めなかった.入院中に,患児が持参したシリンジで末梢静脈輸液路から血液を採取しているところを巡回中の看護師により目撃され,作為症/虚偽性障害と診断された.精査でも原因が明らかにならない身体症状を呈する症例では,作為症/虚偽性障害も鑑別に挙げて診療を行う必要があると考えられた.
著者
藤村 匠 内田 豪気 春松 敏夫 加藤 源俊 石岡 茂樹 小森 広嗣 下島 直樹 佐藤 裕之 廣部 誠一
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.310-314, 2017-04-20 (Released:2017-04-20)
参考文献数
17

今回,我々は膣欠損を合併した直腸膣前庭瘻に鎖肛根治術と同時に小腸グラフトを用いた膣形成を施行した1 例を経験したので報告する.症例は9 か月の女児.出生時に肛門を認めず,日齢2 に人工肛門造設された後に当院紹介となった.直腸膣前庭瘻に対する術前造影で腟欠損に気づき,腹腔鏡による内性器精査で遠位膣欠損と左右に分かれた子宮,正常の卵巣を認め,染色体核型は46XX で,Mayer-Rokitansky-Küster-Hauser 症候群と診断された.本例は体重増加を待って1 歳11 か月時にanterior sagittal anorectoplasty(ASARP)と同時に小腸グラフトを利用した膣形成が行われた.女児鎖肛・前庭瘻症例は婦人科系臓器の形成異常をしばしば伴う.会陰部所見のみでそれらを把握することは困難で,術前造影時に膣造影で診断し,同時に肛門形成・膣形成を行うことは治療戦略として有用である.