著者
石川 国広
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

小学校から高校までの体育の授業に対して、ネガティブな印象を持つ学生が2~3割程度おり、教員の教え方が「指示命令・威圧的」と捉えている者が約4~6割、「自由・放任的」が約2割~4割いて特に高校で多かった。ポジティブな印象を持つ者も、高校で約5割以上が「自由・放任的」と捉えていた。大学一般体育授業の質の向上を図るには、学生の背景の事前調査と授業実践支援ツールの開発など、教員の創意工夫と丁寧な授業作りが必要だと考えられる。
著者
石川 国広
出版者
東京工業大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は、学校カリキュラムへのアドベンチャー教育導入の可能性を検討することである。ここでいうアドベンチャー教育とは、体験教育・体験学習をベースにしたPA(Project Adventure)のことを指し、体育学のみならず教育学や心理学の領域の理論や知見を統合した教育活動といえる。宮城県では、県教育庁が主導でMAP(みやぎアドベンチャープログラム)事業と銘打って、PAJ(Project Adventure Japan)の指導のもと、全県(仙台市を除く)をあげて学校教育に取り入れる方針で、平成11年度より動き出した。平成13年度は、前年度よりも小学校の指定校が6校増えて小・中・高校とも各7校となり、平成14年度の全学校への普及・展開に備えている。最終的には、小学校328校、中学校159校、高校85校の合計487校における全ての教育活動でのMAPを取り入れた実践と、全ての教員のMAPの理解が目標とされている。最終目標が高く、教育庁からのトップダウン形式での導入なので、現場の教員の戸惑いや不安、無関心も多く、指定校でも進行状況には格差があるのが現状である。問題点としては、講義や資料のみでは教員側の理解を深めることが出来ず、体験を積み重ねる必要があり、指導者養成に時間と労力がかなりかかる点。実践場面での難しさとしては、PAの理念やコンセプトを既存の授業等に織り込む点と、教案通りに授業が進行するとは限らず、学習者の状況や反応を見た上で、臨機応変にその場で教案を書き換える能力が教員に問われる点等があげられている。しかし、積極的で意欲的な教員が中心となって徐々に定着している例も見られ、成果も上がってきており、今後の展開が期待される。提言としては、学校の管理職や行政サイドのスタッフ自身がPAの理解と体験を深め、県教委やMAP事務局が推進のためのハブ組織として機能すること等があげられる。