著者
水谷 壮志 石川 敏之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00143, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
23

鋼管部材へのCFRP接着に関する研究は,有限要素解析による検討が多く,せん断遅れ理論やCFRP端部の接着剤のはく離に対するエネルギー解放率に関する知見が十分ではない.本研究では,多層のCFRPが段差を設けて積層された鋼管に対するエネルギー解放率や,それが収束する段差長の設計方法を提案した.多層のCFRPが積層された条件のもと,せん断遅れ理論から導出される連立微分方程式を固有値解析理論を適用した数値解析を実施することで,段差長と接着端部でのエネルギー解放率の関係を明らかにした.また,エネルギー解放率が収束するための段差長の式を導出し,その近似式を与えた.本研究で提案した近似式を用いて段差長を設計することで,構造系全体のひずみエネルギーから導出される簡易な式でエネルギー解放率が算出できる.
著者
笠行 健介 兼清 泰明 石川 敏之 檀 寛成
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_23-I_31, 2018 (Released:2019-01-31)
参考文献数
10
被引用文献数
1

CFRP接着鋼部材を対象とした数値解析において発生する恐れのあるスキームの数値不安定化を,多倍長精度計算方式を適用することにより安定化させて高精度の解を得る手法を構築する.まずCFRP板が接着された鋼板に引張荷重が負荷されるという想定の下で,CFRP板に生ずる軸力とせん断力に対する静力学的基本微分方程式を導き,境界条件を伴う解を伝達マトリクス法により初期値問題の解から構成する枠組みを与える.次に,IEEE 754に基づく固定精度浮動小数点方式による数値解法ではスキームを高精度化しても数値不安定現象が発生し,定性的に異なる挙動の解しか得られないことを示す.最後に多倍長精度計算ライブラリGMPを用いた任意精度方式による数値解法を適用することにより,スキームが安定化して定性的に正しい解が得られることを明らかとした.さらに,(i) 同様のアプローチがCFRP板端部にテーパを設けた場合にも有効であること,(ii) 得られた解は有限要素解析の結果とよく一致すること,(iii) 有限要素解析では数値評価が困難なCFRP板端部付近の応力の挙動も算出し得ること,を明らかとした.
著者
石川 敏之 河野 広隆 長尾 隆史 小林 朗
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A (ISSN:1881820X)
巻号頁・発行日
vol.61A, pp.808-815, 2015 (Released:2015-05-22)

In steel members bonded with carbon-fiber reinforced polymer (CFRP) plate, the thermal stresses are introduced in the steel members, the CFRP plates and the adhesive layers when temperature changes because the linear thermal expansion coefficients of steel and CFRP are mismatched. In the previous paper, the authors proposed a technique to reduce thermal stress in steel members strengthened by CFRP plate, which involves bonding aluminum alloy plates with CFRP plates. In this research, the thermal stress introduced in the steel plate with CFRP and aluminum plates was measured over one year. As the result, it was shown the thermal stress in steel plate was neglectable small through the all-season. Additionally, a steel plate bonded carbon fiber strand sheets and aluminium plates side by side was tested. In this method, the thermal stress induced in steel plate was also reduced.