著者
石川 洋文 平井 安久
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、本邦北海道全域にその感染域が拡大し、また本州に感染の侵入が懸念されている人畜共通感染症であるエキノコックス症(多包条虫症)について、伝播に関する数理モデルを構成し、シミュレーションを通して宿主動物に対する対エキノコックス・コントロール対策効果予測を行い、医学者・獣医学者との協力のもとで住民の感染危険防止に貢献することである。エキノコックスは、人に感染すると悪性腫瘍にも似た重篤な症状を引き起こし死に至ることもあり、4類感染症(感染症予防法)に指定され、北海道庁では、エキノコックス対策協議会を設け、その流行抑制を図っている。また、新興・再興感染症として、厚生労働省ではその感染源対策を推進している。エキノコックスは、Definitive hostsとIntermediate hosts間の相互作用による複雑な生活環を形成し、人にも感染する虫卵は、自然環境下に排出される。現在の技術では、人の感染しうる自然環境下の活性虫卵量の測定は不可能であり、また宿主動物に対する対エキノコックス・コントロール対策は多額の費用及び大量の労力を要することから、モデル・シミュレーションを用いた予測、判定が有用であり、真に役立つ精密モデルを構築することである。本研究では、Definitive hostであるキツネを個々に取り扱い、エキノコックスの感染進行を確率的に取り扱った。モデルをより現実化するために、個々のキツネについてエキノコックス感染荷を用いた。この感染荷は、捕食した野ネズミの原頭節量とキツネの感染経験により左右される。本研究では、北海道小清水及び札幌を研究対象地として確率シミュレーションを1,000回繰り返し結果を得た。この結果、コントロール対策としてキツネの駆虫薬散布を行うとき、散布時期の選択が重要となることが分かった。本研究で実施した確率シミュレーションは、感染率などを中央値とともに信頼区間を得ることができ、エキノコックスのような複雑な感染環をもつ疾患の解明、コントロール対策の評価に役立つものとなった。
著者
野田 隆三郎 洞 彰人 神保 秀一 池畑 秀一 石川 洋文
出版者
岡山大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

1 タイトt-デザインの分類については ウイルソン多項式の根の整数条件が有力な手がかりであるが これの処理方法においてかなりの進展が得られた。今後はこれ以外に入の整数性をうまく結びつけて 最終的な解決をはかりたいと考えている。2 擬対称4-デザインはタイト4-デザインに他ならず すでに分類が完成している。条件を擬対称3-デザインに弱めても 同じ手法がかなりの程度まで使えることが分かった。デザインの諸パラメーターの整数性および付隨する強正則グラフの結合行列の固有値の整数性が 強い制約を与えており これらをうまく処理して分類を完成させる 見通しができた。3 スタイナーシステムS(t,k,v)において よく知られているキャメロンの不等式 V≧(b+1)(k-t+1) および私の証明した不等式 V≧(b+1)(k-t+1)+(k-t)の改良として次の結果を得た。 定理 tが奇数で V>(t+1)(k-t+1)とすると V≧(t+2)(k-t+1) が成りたつ.さらに等号が成りたつのは(t,k,v)=(t,b+1,2t+4)のときに限る.この結果は近く論文にまとめる予定である.4 等周問題については3次元におけるミンコフスキーの不等式 M^2≧4πA,およびA^2≧3VMの改良がいま一歩のところまで進展した。これは有名なブルン・ミンコフスキーの不等式の改良とも結びついているので完成すれば大変面白い結果であると考ている。近いうちに是非完成したい。また逆向きの等周不等式については 2次元におけるゲージの証明はそのまま3次元以上に適用することはできないがボンネゼンの定理をうまく使う事によって解決への重要な手がかりが得られた。
著者
野田 隆三郎 池畑 秀一 石川 洋文 梶原 毅 脇本 和昌 堤 陽
出版者
岡山大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

1 tight3とtight5-orthogonal array(つまり Raoのboundを達成する直交配列)の分類を完成した。(別掲論文)。その他のtight orthogonal arrayの分類の研究は現在進行中である。2 Steiner system(つまりt-(v,k,l)デザイン)に関する次の新しい不等式が得られた(論文準備中)。これはP.J.Cameronが与えた不等式の改良になっている。tが隅数の時 v≧(t+1)(k-t+1)+(k-t)がなりたつさらに等号がなりたつのは 4-(23,7,1)がt-(2t+3,t+1,1)に限る。また tが奇数で v>(t+1)(k-t+1)とあると v≧(t+2)(k-t+1)がなりたつ3 orthogonal arrayに関する不等式も得られたが、更なる改良を、現在考慮中である。