著者
宮崎 純一 中川 幸恵 藤井 文子 原 純也 渡辺 啓子 石川 祐一
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.327-335, 2017 (Released:2017-09-26)
参考文献数
5

医療・介護における栄養情報の連携は十分とは言えない一方、適切な食形態での食事提供は、栄養状態の改善につながるとの報告があり、栄養管理情報を積極的に発信することが患者のQOL向上に寄与すると考えられる。そこで、栄養情報提供書の作成および研修会による認識の統一を図り、平成29年2月から平成29年3月までに 「医療栄養情報提供書」 を使用した13人を対象に、業務負担軽減への影響と栄養状態の推移を調査し、医療栄養情報提供書の有用性を検証した。栄養情報提供書の作成は普及しているとは言えず、必要性・有用性を実感した回答が得られたものの研修会後の作成率の上昇は見られなかった。しかし、医療栄養情報提供書の活用により、栄養管理計画・栄養ケアプランの作成時間が有意に短縮し、業務負担の軽減が認められた。さらに、栄養状態が改善した患者が46%と、栄養状態の維持のみならず改善も認められ、管理栄養士の記載に特化した標準化した医療栄養情報提供書の有用性が示唆された。
著者
中川 幸恵 石川 祐一 渡辺 啓子 朝倉比 都美 西村 一弘 藤井 文子 林 進 今 寿賀子 井上 小百合 貴田岡 正史 増田 創 米代 武司
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.813-819, 2014-11-30 (Released:2014-12-01)
参考文献数
17

栄養指導の糖尿病改善効果は指導頻度を高めるほど得られやすいと考えられている一方,糖尿病罹病期間が長くなるほど得られ難くなることも知られている.本研究では,栄養指導の糖尿病改善効果に対する指導頻度の影響が罹病期間に依存するか否かを調査した.281病院に通院する2型糖尿病患者725名を対象とし,管理栄養士による栄養指導の開始時と6ヶ月後の臨床データを収集した.HbA1cは罹病期間が長い者に比べ短い者の方が(P<0.001),指導頻度が低い者に比べ高い者の方が(P<0.001)改善した.指導頻度依存的なHbA1c改善効果は長期罹病患者でも認められた(P<0.05).ロジスティック回帰分析を用いて年齢,性別,糖尿病家族歴,糖尿病薬の変更,HbA1c初期値,罹病期間で補正したところ,指導頻度はHbA1c改善の有意な規定因子になった(P<0.001).高頻度な栄養指導は,糖尿病患者の罹病期間に係わらず病態改善効果を高めることが判明した.