著者
木島 弘道 坂井 恵子 増田 創 加藤 雅彦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.665-668, 2006 (Released:2009-01-19)
参考文献数
3

症例は69歳女性.2型糖尿病,橋本病,高血圧症の治療を受けていたが,失神・脱力発作を繰り返すようになり当科に入院となった.失神発作の原因は冠血管造影にて右冠動脈起始部の完全閉塞がみられたことから,房室ブロックあるいは洞停止によるものと考えられた.入院前に使用していたグリベンクラミド,ボグリボースに代えて,塩酸メトホルミン(メデット®,以下Met)ならびに混合型インスリンを併用し血糖コントロールを改善したうえでペースメーカー植込み術を行った.しかし,この前後から乾性咳,微熱,呼吸困難感を自覚.画像検査で間質性肺炎と大量の胸水貯留が認められた.Metの中止とプレドニゾロン投与で改善がみられたが,Met再投与で微熱と息切れの再燃がみられた.Netによる薬剤リンパ球刺激試験の結果も陽性であり,同剤の投与による薬剤誘起性間質性肺炎と考えられた.
著者
中川 幸恵 石川 祐一 渡辺 啓子 朝倉比 都美 西村 一弘 藤井 文子 林 進 今 寿賀子 井上 小百合 貴田岡 正史 増田 創 米代 武司
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.813-819, 2014-11-30 (Released:2014-12-01)
参考文献数
17

栄養指導の糖尿病改善効果は指導頻度を高めるほど得られやすいと考えられている一方,糖尿病罹病期間が長くなるほど得られ難くなることも知られている.本研究では,栄養指導の糖尿病改善効果に対する指導頻度の影響が罹病期間に依存するか否かを調査した.281病院に通院する2型糖尿病患者725名を対象とし,管理栄養士による栄養指導の開始時と6ヶ月後の臨床データを収集した.HbA1cは罹病期間が長い者に比べ短い者の方が(P<0.001),指導頻度が低い者に比べ高い者の方が(P<0.001)改善した.指導頻度依存的なHbA1c改善効果は長期罹病患者でも認められた(P<0.05).ロジスティック回帰分析を用いて年齢,性別,糖尿病家族歴,糖尿病薬の変更,HbA1c初期値,罹病期間で補正したところ,指導頻度はHbA1c改善の有意な規定因子になった(P<0.001).高頻度な栄養指導は,糖尿病患者の罹病期間に係わらず病態改善効果を高めることが判明した.
著者
田中 友梨 菅原 文香 川原 哉絵 富永 史子 加藤 由美 鈴木 千春 下國 達志 増田 創 東舘 義仁 中川 幸恵
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.479-487, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
6

平成30年度の診療報酬改定は、多職種や近隣施設との連携強化、すなわち、地域包括ケアシステムの構築に向けた政策の1つと言える。そこで本研究では、管理栄養士の「入院支援」と「退院支援」の参画を開始し、有用性について検証した。「入院支援」への参画では、入退院センター利用患者の概要を把握し、管理栄養士介入の手順を考案した。「退院支援」への参画では、「看護及び栄養管理に関する情報(2)」の運用方法を検討し、近隣の病院や施設等との連携を図った。「入院支援」では、先行研究同様、入院まで良好な栄養状態を保つことで治療に寄与すること、多職種が介入することで業務軽減につながることが示唆された。「退院支援」では、近隣の病院や施設と転院前後の情報共有を円滑に行うことで迅速な患者の栄養管理が可能となり、患者の食事摂取量の維持や増加、また栄養状態の維持や向上につながることが示唆された。「入院支援」、「退院支援」における管理栄養士の参画は、院内外のスタッフ連携に加え、患者支援につながると考えられた。