著者
松沢 勝 石本 敬志 前野 紀一
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.19-28, 1996-01-15
被引用文献数
3 1

スパイクタイヤ使用禁止以降,社会問題となっている凍結路面の形成過程を明らかにするために,降雪のあった日の夕方から,翌朝にかけて路面の調査を行った.本調査では,気象観測や交通量観測に加え,道路雪氷試料を採取し,偏光顕微鏡による薄片観察を行った.その結果,圧雪の表面に厚さ0.2~4mm程度の氷膜(氷板)が形成されることが明らかになった.同時に行った気象観測の結果より,この氷膜は,車両の影響で融けた水分が再凍結することによって生じることがわかった.さらに,このような氷膜の形成の有無は,時間交通量(無降雪時は,降雪が止んだ後の積算交通量)と時間降水量の関係によって,決定されることが明らかになった.また,自動車のスリップ時に発生する摩擦熱に加え,排気口からの暖められた排出物も道路雪氷の融解・再凍結を促進することがわかった.