著者
高橋 修平
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科學. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.13-46, 1979-03-26
著者
亀田 貴雄 本山 秀明 藤田 秀二 高橋 修平
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.151-158, 2008-06-30
被引用文献数
1

1995年1月25日に南極ドームふじに36本雪尺(20m間隔で100m×100m)が第36次南極地域観測隊により設置され,それ以来雪尺の高さが継続的に測定されてきた.ドームふじ基地で越冬観測を実施した4年間(1995年1月から1997年12月及び2003年1月から2004年1月)は月2回測定し,それ以外は年1回の測定(1月上旬が多い)を実施した.この結果,1995年から2006年までのドームふじの年平均表面質量収支は,27.3±1.5kgm^<-2>a^<-1> であることが推定できた.これは,ドームふじ浅層コアから推定された西暦1260年から1993年までの平均値(26.4kgm^<-2>a^<-1>)と近い値であった.また,ドームふじでは1年後に雪尺の高さが等しいかもしくは高くなっている「負の年間表面質量収支」が8.6%の確率で起こっていることがわかった.南極内陸に位置するボストーク,南極点,ドームCでの同様な観測結果と比較することにより,負の年間表面質量収支は年平均表面質量収支の増加とともに減少し,190kgm^<-2>a^<-1> 以上の地点ではで負の年間表面質量収支は95%の信頼水準で起こらず,正の年平均表面質量収支が期待できることがわかった.190kgm^<-2>a^<-1> 以上の年平均表面質量収支は地域により異なるが,現在の南極氷床ではおおよそ標高1500-2500mに相当するので,この標高域では毎年の積雪が氷床に記録されている地点が多いことが推定できた.一方,ボストークでのピット観測結果を参考にして,現在及び氷期のドームふじコアでの年層欠損確率をそれぞれ9.4%,11.4% と見積もった.この他に,ドームふじで1本の雪尺を1年間観測した時に得られる年平均表面質量収支の誤差,10年後の再測定で得られる年平均表面質量収支の誤差などを論じた.
著者
亀田 貴雄 高橋 修平 渡邉 興亜 平沢 尚彦 佐藤 秀昭 浜田 始
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.541-554, 2018 (Released:2023-03-01)
参考文献数
27

1991年から現在まで,北海道足寄郡陸別町では雪氷分野での実験・観測として,陸別の寒さに関する観測,深層掘削機開発実験,雪上滑走路造成実験,降雪量比較観測,が実施されてきた.これらの大規模な観測・実験を実施するためには,実験を計画する研究者側の熱意とともにそれを受けとめる地域の協力が極めて重要である.陸別での観測・実験では両者が有機的につながったため,これらの実験・観測を実施することができた.この報告ではこれらの観測・実験の最初の一歩の説明から始まり,それぞれの観測・実験の実施状況,さらに主要な成果を説明する.
著者
高橋 修平 亀田 貴雄 本山 秀明 Shuhei Takahashi Takao Kameda Hideaki Motoyama
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.52, no.特集号, pp.117-150, 2008-06-30

本報告は,1991年から2007年(第32次南極地域観測隊から第48次隊)に東南極氷床の内陸域に位置するドームふじ基地を中心として実施された「ドームふじ観測計画」で得られた雪氷・気象観測の主要な成果を取りまとめたものである.現地での雪氷・気象観測は,「基本観測」及び「研究観測」として実施された.前者は,ドームふじ観測計画として立案したものであり,後者は南極地域観測隊に参加した研究者が立案したものである.2001年から2007年(第42次隊から第48次隊)まで実施された第二期ドームふじ観測計画期間での基本観測については,観測方法及び現地での観測実施状況を詳しく述べた.なお,ドームふじ観測計画により得られた雪氷・気象観測結果を報告する論文・報告は現在までに157編,学会等での口頭・ポスター発表は243件であった.
著者
藤原 一平 青木 浩介 中嶋 智之 高橋 修平
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

今年度までの主な研究実績は以下の通り。ー 国際的な資金の流出、流入が日常化する経済では、中央銀行は、インフレ率の安定に加えて、金融不均衡(その結果として生じる産出量の大幅変動)の是正、をも考慮して、政策を決めなくてはならない。金融取引がグローバル化するもとで、金融政策、および、マクロ・プルーデンス政策のあり方についての研究を進め、景気に応じて税率などを変化させるマクロ・プルーデンス政策の有効性を確認した。ー 大国の政府債務が国際流動性として需要される背景には、保険市場が完全でないため、政府債務が安全資産として、その保有を通じて、ありうべきリスクから生じる損失が小さいものとなることが考えられる。このため、不完備市場において、どのような財政政策が、リスク・シェアリングを改善するかについての理論的理解にも努めた。また、不完備市場における均衡を求める数値計算能力(すなわち、プログラミング能力)も向上させた。ー 国際的な流動性需要の背景には、高齢化といった構造要因がその背後に存在するため、高齢化が進展する国では、どのようなメカニズムが、その国の貯蓄・投資バランスに影響を与えるのかの理解にも努めた。ー リスクが存在するもとで、実体経済変数と金融資産のポートフォリオを同時に決定する手法の習得にも努めた。ー どのような状況において、政策協調のゲインが存在するかについての知識を深めるとともに、国際的な政策協調、非協調のもとでの均衡を求める手法の習熟にも努めた。
著者
藤田 秀二 上田 豊 東 久美子 榎本 浩之 亀田 貴雄 高橋 修平 古川 晶雄 松岡 健一
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.415-425, 2002-07-15 (Released:2009-08-07)

近年のデータ通信環境の進歩に伴い,南極雪氷観測データの取り扱いに関しても,その保存・公開方法の見直しが急務となっている.南極研究プロジェクトの努力の結晶であるデータが,将来にわたり価値を保ちつつ研究に活用され,散逸の危険なく安全な保存がなされ,且つ,アクセス権・版権・公開方針が一定のルールのもとで取り扱われる必要がある.こうしたマネジメントの善し悪しが,研究コミュニティーの将来の知的生産性に決定的に影響するため,問題提起と要点の整理を目的として本稿を提出する.各国の事例を参考に,マネジメントに求められる諸機能を分析した.重要な点は,長期に安全に維持運営される必要があること,国家事業として実施されてきた南極観測を対象としたマネジメントであること,それに,研究コミュニティーがこれを実質的に構築し且つ利用者となることである.このため,(1)南極研究機構のなかでデータマネジメント機構を作る体制が望ましい.(2)情報管理の専門性と手間を考慮した場合,専門情報技術者を配置した維持管理が不可欠である.さらに,(3)仕組みが機能するには,研究コミュニティーからのサポートが不可欠である.
著者
西村 浩一 高橋 修平 本山 秀明 小杉 健二 根本 征樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

風力発電と太陽光パネルを用いた吹雪計測システムの開発を試みた。低温風洞で出力特性等の検証後、国内は新潟県と北海道、国外ではフランスアルプスで性能試験を行った。2013年には南極の昭和基地近傍の氷床上で、約2カ月にわたる吹雪の自動観測に成功したほか、フランスと共同でアデリーランドの観測タワーで吹雪フラックスの鉛直分布を求めた。また英国と共同で砕氷船により南極海の棚氷を周回し、海塩エアロゾルの供給源としての吹雪の寄与の測定を行った。一方、メソスケール気象モデルWRFで南極氷床上における気象要素の時系列変化を求め、これに基づいて算出された吹雪量を2000年の南極みずほ基地での観測結果と比較した
著者
高橋 修平 佐々木 正史 大橋 鉄也 川村 彰 榎本 浩之 鈴木 聡一郎 高橋 清 亀田 貴雄 菅原 宣義 堀 彰 舘山 一孝 中山 恵介
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

研究課題について次のような成果を得た。(1)知床半島は海氷の流れに対して「せき止め効果」を持ち、北海道で最も長く海氷が接岸する。(2)知床峠の山間部では吹き払いによる無雪区間と5m以上の吹きだまり区間と地形に依存する積雪特性が得られた。(3)知床半島で陸生動物も入った栄養塩循環が確認された。(4)送電線がいしに海塩汚損と着氷による電力障害を観測し、低温実験室内でも再現できた。(5)雪氷環境と人間社会に関する様々な課題が研究された。
著者
高橋 修平 川村 彰
出版者
北見工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

積雪地域の冬期間交通路で大きな問題である路面凍結を検知するシステムを試作開発した。検知装置は入射角45°のLED光源,天頂センサー,反射角45°センサーからなり,拡散反射および鏡面反射を求めた。スリップ事故の原因となる光沢路面は鏡面反射率から判別でき,ブラックアイスバーンは鏡面反射と拡散反射の比から抽出できた,道路上の観測は,北見市内、陸別町,国道39号山間部(石北峠)等で行い,良好な結果を得た
著者
亀田 貴雄 川村 彰 高橋 修平 本山 秀明 古川 晶雄
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

南極氷床の沿岸域から内陸 1000kmに位置するドームふじ基地までの雪面の起伏状況を雪上車および橇に搭載した3次元加速度計を用いて定量化し,その分布の特徴を明らかにした。ドームふじ基地では雪尺を用いた積雪堆積量観測を継続し, 2008年以,年間積雪堆積量は 1995~2006年と比べると変動が大きくなったことを見いだした。また, 2003年 11月 14日未明にドームふじ基地で起こった皆既日食中の気象観測データの解析を進め,急変する日射量の変動による気温と雪温の変化の状況を明らかにした。
著者
福田 正己 高橋 修平 曽根 敏雄 石崎 武志 成田 英器 高橋 伸幸
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

1.地下氷の存在が確認されている置戸町鹿の子ダムサイト斜面で、凍土の水平的な分布を確認するために、電気比抵抗探査を実施した。その結果、表層部で高い比抵抗値を示しており、同時に行った1m深さの地中温度の水平分布で示された低温地域と一致した。 2.かつて地下氷の存在が確認されていた地点に10m深さの検層孔を設け、3年間にわたって50cm毎の垂直地中温度分布の経時変化をモニタ-した。その結果、1988ー1989年までは表層から1m〜5mまでは、年間を通じて凍結状態にあり永久凍土の存在が確認できた。しかし、1989年の冬季が暖冬であり、引き続く1990年夏が暑かったため、1990年夏季に一旦凍土層が消滅した。 その後、冬季の寒気によって再び凍土層が再生しつつある。 3.低山地に形成分布している置戸町の永久凍土と比較するため、大雪山の永久凍土の分布と構造を明らかにするための現地調査を実施した。まず電気抵抗探査により、大雪山平ガ岳村付近のパルサ分布地域で、永久凍土の水平及び垂直探査を行った。同一地点で、凍土のボ-リング探査を行い、凍土の垂直分布が電気探査結果と一致するのを確認した。さらに、得られた凍土コア-サンプルを用いて、花粉分析とAMS^<14>C年代測定を行い、古環境の復元を行った。 4.花粉分析の結果、3mー5m深さでは、コナラ層とハンノキ層の花粉の出現頻度が高く、かつての温暖期に対応するものと推定される。1mー3mでは貧〜無花粉層となり、寒冷期に対応する。1m以浅では、エゾマツとアカエゾマツが多くなり、次第に温暖化してきたことを示唆してる。80cm深さから得られた腐食物の^<14>C年代は7060±200BPYとなった。これは後氷期の温暖期に一致しており、花粉結果に対応付けることができた。
著者
若濱 五郎 成瀬 廉二 庄子 仁 藤井 理行 中澤 高清 高橋 修平 前 晋爾
出版者
北海道大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

本研究は、南極クィ-ンモ-ドランド氷床、グリ-ンランド氷床、北極氷冠、およびアジア内陸地域の氷河等にて堀削し採取された氷コアの解析を行い、諸特性を相互に比較検討することを目的として進められた。特に、最終氷期以降の大気環境変動の過程ならびに氷床・氷河の変動におよぼす氷の動力学的特性を明らかにすることに重点をおいた。研究成果の概要を、以下の1〜4の大項目に分けて述べる。1,氷の物理的性質の解析:氷床氷中の氷板、気泡、クラスレ-ト水和物の生成過程、ならびに多結晶氷の変形機構や再結晶について新しい知見が得られるとともに、氷コアの構造解析の新手法が開発された。2,氷の含有化学物質の分析:氷床氷中の酸素同位体、トリチウム、二酸化炭素、メタン、固体微粒子、主要化学成分、火山灰等の分析結果から、最終氷期以降あるいは近年500年間の大気環境変動過程について多くの情報が集積された。特に、両極地の比較検討も行われた。3,雪の堆積環境に関する解析と数値実験:南極地域にて観測された気象・雪氷デ-タ等の解析、および数値シミュレ-ションを行うことにより、中・低緯度から極地氷床への物質・水蒸気の輸送過程ならびに雪の堆積・削はく現象と分布について研究された。4,氷河・氷床の流動と変動機構に関する解析と数値実験:南極東クィ-ンモ-ドランド氷床の平衡性、白瀬氷河の変動、山脈周辺の氷床の動力学的特性、深層氷の年令推定法などについて考察された。1990年9月、札幌において本総合研究の全体研究集会を開催し、各研究結果の総合的討論を行った。この成果は、総合報告書(B5版、312ペ-ジ)として1991年3月に出版された。同報告書では、将来の氷床コア研究の展望と諸課題も論じられている。