- 著者
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石橋 明浩
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2000
時空特異点の波動によるプローブによって、特異点は波動に対して正則、非正則の二つに分類される。もしダイナミカルなブロセスで非正則な裸の特異点が現れる様な状況は、宇宙検閲官仮説に法って、排除されることが望ましい。このような非正則な裸の特異点発生の排除が、量子効果を考えることで達成され得ることを簡単なモデルにおいて、具体的に量子粒子の計算をして、示した。(A.Ishibashi and A.Hosoya)我々の4次元宇宙が、高次元の反-de Sitter時空の中にあるブレーンとして記述される、いわゆるブレイン宇宙シナリオが近年、盛んに議論されている。このシナリオでは、5次元方向に運動しているダイナミカルな4次元ブレーンの振舞いを議論することが本質的に重要である。このシナリオは、これまでのところ通常の4次元一般相対論に基づく重力理諭と整合している。我々は、この5次元方向の存在が顕著な役割を果たすブレイン宇宙の新しいモデルを提案した。その特徴は、まずRandall-Sundrum modelと違って、はじめに5次元バルク時空は反-de Sitter時空である必要はない。bulk時空で真空泡発生、その膨張とブレーンと衝突する事によって、ブレイン宇宙の有効宇宙項が消え、ブレーン上のンフレーションが終り、ビッグバン宇宙に転じることができる。同時にバルクが反-de Sitter時空になるため、通常の4次元一般相対論的重力が再現されることになる。特に、通常の4次元での真空泡に因るインフレーションの終了と違い、ホライズンスケールを越えて、同時に4次元宇宙が再加熱される。この様に、ブレーン宇宙とバルク内部の真空泡や、別のブレーンとの衝突を用いて我々の4次元ビッグバン宇宙モデルを再現しようとする幾つかのモデルが最近提案されてきた。上述した我々のモデルの紹介とともにその他のブレーンの衝突を用いた理論についてレポートした。(U.Gen, A.Ishibashi, T.Tanaka)また、ブレーンの様な物体が重力とどの様な相互作用をするのかについて、4次元の場合には、線形摂動の範疇でブレーンの揺らぎの自由度が、その自己重力を考慮すると、周りの重力波摂動の自由度で記述されるという、ブレーンのダイナミクスについての、これまでの素朴な予想とは非常に異なる結論がえられていた。我々は、この現象は、一般の次元で起こることを示すとともに、この一見この矛盾する様な現象は、ある状況下では解消することを示した。即ち、我々の提案した、弱い自己重力近似の状況かでは、自己重力を考慮したダイナミクスは、考慮しないテストブレーン近似による運動の解析によって得ることができることを示した。(A. Ishibashi, T. Tanaka)また、ブレーンの様に拡がりをもつ物体と、同じく拡がりをもつ相対論的物体であるブラックホールとの相互作用は非常に興味深い。我々は数値計算の方法を用いて、この二つの物体の共存する静的な時空解が存在することを示し、相互作用について議論した。(R.Morisawa et al.)