著者
石毛 みどり 無藤 隆
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.266-280, 2006 (Released:2006-08-30)
参考文献数
51
被引用文献数
8 8

レジリエンスは困難な出来事を経験しても個人を精神的健康へと導く心理的特性である.中学生905名を対象に,レジリエンスとCloningerの7次元モデルの特性との関連,およびそれらの関連の性差を検討した.その結果,レジリエンス尺度は「意欲的活動性」「内面共有性」「楽観性」の3因子構造だった.男子の場合,「意欲的活動性」と「自己志向」および「協調」とが,そして「内面共有性」と「協調」とが有意な正の関連を示した.女子の場合,「意欲的活動性」と「自己志向」,「内面共有性」と「報酬依存」とが有意な正の関連を,「楽観性」と「損害回避」とが有意な負の関連を示した.
著者
石毛 みどり 無藤 隆
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.356-367, 2005
被引用文献数
3

レジリエンスは, 困難な出来事を経験しても個人を精神的健康へと導く心理的特性である。本研究の目的は中学3年生の高校受験期の学業場面における精神的健康とレジリエンスおよびソーシャル・サポートの関連について検討することだった。精神的健康の指標はストレス反応と成長感を用いた。受験前は538名を対象に, レジリエンス尺度, ソーシャル・サポート尺度, 学業ストレッサー尺度そしてストレス反応尺度を用いて解析した。受験後は, 受験前と後の同一被験者263名を対象に, 上記の尺度に成長感尺度を加えて解析した。その結果, (1)レジリエンス尺度は「自己志向性」「楽観性」「関係志向性」の3因子構造だった。(2)ストレス反応の抑制には「自己志向性」, 「楽観性」, 母親, 友だち, 先生のサポートが寄与していた。(3)成長感には「自己志向性」が強く寄与していた。(4)女子のストレス反応の抑制にはレジリエンスよりソーシャル・サポートの方が大きな影響を及ぼしていた。(5)「関係志向性」および「自己志向性」には友だちサポートが最も高い相関を示した。最後にストレス状況下での精神的健康に対するレジリエンスとソーシャル・サポートの役割について討論した。