著者
石毛 昭範
出版者
日本経営学会
雑誌
經營學論集 第89集 日本的経営の現在─日本的経営の何を残し,何を変えるか─ (ISSN:24322237)
巻号頁・発行日
pp.F7-1-F7-6, 2019 (Released:2019-09-26)

企業におけるワークルールの知識普及や遵守については,少なくとも経営学分野からの検討は十分行われてこなかった。本稿では,企業におけるワークルールの知識普及がこれまでどのように行われ,どういった問題があったかについて述べる。これに対して,企業に対するインセンティブとなりうるものとして労務監査・労働条件審査があるが,その広がりに寄与していると思われる「公契約条例」の歴史や意味,役割,さらにはその前提となる ILO第 94号条約の意義について論じる。そして,企業におけるワークルールの知識普及や遵守に対して,公契約条例および労務監査・労働条件審査がどのように関わり,そこにどのような意義や問題点があるか,そして今後どのような方向性が考えられるかについて考察する。