著者
石澤 美代子 成瀬 祐子 水野 尚子 藤岡 由美子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
教育総合研究 = Research and studies in education (ISSN:24336114)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.203-212, 2020-11

管理栄養士養成課程において臨地実習は必須であり、本学には臨地実習Ⅰ~Ⅳの4種類がある。そのうち臨地実習Ⅱは病院へ赴き10日間の実習を行い、終了後はパワーポイントを用いて実習の概要や課題をまとめ、大学で「対面・ブース形式」により報告会を行っている。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大により対面が難しい状況となったので、2020年度は報告会をオンライン・ブース形式(オンライン報告会)にて行った。オンライン報告会は聴講者にはメリットが多く発表者側も有益な報告会になる可能性が示唆されたので、対面実施が難しいなかでもオンラインによる報告会は、代替方法として有用であると思われた。
著者
石澤 美代子 得丸 定子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, 2013

【目的】食育基本法(平成17年)や新小学校学習指導要領解説(平成22年)等において食育の重要性がうたわれている。この現状下、筆者らはその知識習得や日常の食生活への波及効果を期待し「食育すごろくゲーム」を開発し、平成23年1月、小学校6年生家庭科の授業において実践し好評を得た(第54回本大会にて報告)。今回、実施から1年以上経過した時の本教材の影響や印象を調べるため、中学1年生となった対象児童(以降生徒)にアンケートを行ったので、報告する。【方法】調査時期は平成24年3月で、授業実践から1年1ヶ月が経過していた。対象者は、授業実施小学校から全児童が進学する長野県T中学校の1年生72名のうち、他小学校から転入した生徒や授業当日欠席だった生徒を除く、62名(男子29、女子33名)である。調査は、授業実施の記憶やその内容、授業実施後食事について変わったことがあるか等6項目からなる記名式アンケートである。なお、アンケートの配布・回収は生徒の担任が担当し、当時の授業等について全く触れずに行ってもらった。分析は、集計数については独立性の検定を、自由記述についてはテキストマイニングにより行った。【結果】「去年1月に『食育すごろくゲーム』を使った授業を覚えていますか」の問いに、「覚えている」との回答は42名(67.7%)で、男子15名(51.7%)、女子27名(81.8%)であり、女子の方が有意(p<0.05)に多く覚えていた。「強く印象に残っているものは何ですか」の問いには、40名(男子15、女子25名)が記述し、最多ワードは「コマ(食品サンプル)」であった。「今でも覚えている知識は何か」の問いには、36名(男子15、女子21名)が記述し、最多ワードは「特にない」であり、次いで「三色群」であった。「またやるとしたら誰とやりたいか」の問いでは、複数回答で、「友だち」が33名(男子14、女子19名)、次いで「きょうだい」が11名(男子2、女子9名)、以下、祖父3名、祖母3名、母2名等と続いた。「授業をきっかけに食事のことで変わったことがあるか」の問いには、複数回答で、「1日三食食べるようにし欠食しない」が17名(男子6、女子11名)、「今までより料理を手伝うようにした」が16名(男子5、女子11名)、「家族と食事について話すことが増えた」が15名(男子7、女子8名)、「食事のことで注意されることが減った」が14名(男子7、女子7名)、以下「三色の群を気にして食べるようにした」、「今までより栄養や食事のことを気にするようになった」「今までより郷土食に興味がでてきた」「(ツールのひとつである)くりだし六角形に興味が出てきた」であった。【まとめと考察】1年以上経過したが、本教材を使った授業について67.7%の生徒が記憶しており、女子の方が有意に多かった。印象に残っていることは「コマ(食品サンプル)」であった。覚えている知識は「三色群(食品を三つの色の群に分けること)」が多くあったが、「特にない」との記述も多くあり、授業や教材を覚えてはいるが知識として習得されていない可能性が示唆された。また、授業をきっかけに食意識が向上したり、食についての家族との会話や料理手伝い等が増えたとの回答が多く、本教材による食生活への波及効果が示唆された。