1 0 0 0 OA 焼き物の色

著者
石田 信伍 高橋 秀典
出版者
The Surface Science Society of Japan
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.380-384, 1997-06-10 (Released:2009-08-07)
参考文献数
12

This article deals mainly with the colors of celadon and copper red glazes, and ceramic pigments in terms of their color development mechanisms. Firing atmospheres (oxidizing, neutral, reducing) applied during heating and cooling processes and the onset temperatures of their applications are important factors to produce desired glaze colors. Furthermore, methods for modifying colors of ceramic pigments are briefly mentioned.
著者
石田 信伍 藤村 義和 藤吉 加一 若松 盈
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:18842127)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1042, pp.326-327, 1982-06-01

ウルトラマリンはソーダライト型のケージが最密充てんしたものであり, このソーダライト型ケージはまたLinde Aモレキューシーブ (MS) の構造中の主要な要素である. この理由で, MSからのウルトラマリンの生成は容易なはずであり, 実際に以下の (1)-(4) の過程を経てMS 5A及びMS 4Aからウルトラマリン・ブルーが合成できた. (1) Na<sub>2</sub>S飽和水溶液中でMSにNa<sub>2</sub>Sを含浸させ, このMS-Na<sub>2</sub>Sを乾燥 (N<sub>2</sub>ガス中), (2) 500℃におけるMS-Na<sub>2</sub>S上の硫黄蒸気の吸着 (N<sub>2</sub>ガス中), (3) MS-Na<sub>2</sub>S-Sを820℃まで加熱 (N<sub>2</sub>ガス中, 加熱速度17℃/min), (4) MS-Na<sub>2</sub>S-Sを820℃から500℃まで冷却し, これを500℃で空気酸化.<br>MS 5A及びMS 4Aからの酸化生成物はそれぞれ空色及び緑色であったが, 820℃で2-3時間空気中で再加熱したら青色になった.<br>MS 4Aからのウルトラマリンの生成は, ソーダライト類似構造を有していないNaAlSiO<sub>4</sub>組成のカオリンとNa<sub>2</sub>CO<sub>3</sub>間の焼結生成物からのウルトラマリン生成に比較して, ずっと容易であった. 上述の結果から, ウルトラマリン・グリーンの生成はMS 4A中の多硫化物がソーダライト型ケージへ侵入することによって引き起こされたと推論された.<br>今のところ, モレキュラーシーブが高価格であることと, 生成物中の発色団濃度が低いために, このウルトラマリン・ブルーの合成法は実用的でないが, この方法はウルトラマリン合成に含まれている反応機構の研究のためには利点を有している.