著者
石田 真貴 西本 章宏
出版者
日本マーケティング・サイエンス学会
雑誌
マーケティング・サイエンス (ISSN:21874220)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.7, 2022-06-30 (Released:2022-08-08)

本研究の目的は,機能的固着を回避できないリードユーザーから革新性の高い新製品アイ デアを抽出することができる,新たなリードユーザー活用法を提案することである。本研究 では,合計 4 つのステップによって開発・評価された新製品アイデアの革新性と類推距離の あいだには逆U字の関係性があること,近距離よりも遠距離の周辺市場に所属するリード ユーザーから発案された新製品アイデアの方が,革新性の高い評価を得ることができること を明らかにした。
著者
石田 真貴
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.66-74, 2023-06-30 (Released:2023-06-30)
参考文献数
34

マーケターは新製品に対する消費者選好を正確に予測できているのだろうか。新製品開発において消費者選好を正確に予測することは重要だが,先行研究では,マーケターによる予測は正確でないことが示されている。そこで本稿の目的は,消費者選好を予測する際に生じるフォールスコンセンサス効果(False Consensus Effect:以下FCE)に関する研究を整理し,マーケターによる消費者選好の予測の正確さに貢献していくことにある。FCEとは,製品に対する個人選好を消費者に投影させる認知バイアスのことである。FCEが生じたマーケターの予測は,実際の消費者選好と乖離し,非魅力的な製品の開発を続けるなどの望ましくない意思決定を下す。そのため本稿では,FCEが生じる要因である「消費者への共感」と「顧客志向」について確認した上で,FCEを回避する方法である「個人選好抑制」について詳述していく。しかし,FCEに関する研究には残された課題が多い。そのため最後に,個人選好抑制,予測対象である消費者の属性,消費者選好の測定の正確さ,マーケターの特徴の観点から今後の研究の方向性を示唆する。