著者
村上 龍文 砂田 芳秀
出版者
川崎医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

糖尿病性多発神経炎(DPN)の血管内皮増殖因子(VEGF)遺伝子治療での改善機序を解明するため、この治療が著効するSTZ糖尿病マウスのDPNについて検討した。その結果このマウスでは糖尿病初期から無髄線維が選択的に萎縮しており、有髄線維は成長・発達障害があることが明らかとなった。また坐骨神経ではVEGFシグナル系の遺伝子発現が亢進し、PGE2含量の低下が認められた。ラットと異なりマウスではVEGFの逆向性軸索輸送は認められなかった。
著者
砂田 芳秀 大澤 裕 太田 成男
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.8-10, 2019 (Released:2020-09-20)

MELAS は繰り返す脳卒中様発作を特徴とするミトコンドリア病であり、tRNALeu(UUR)をコードするミトコンドリアDNA の3243A>G 変異に起因する。この変異によりtRNALeu(UUR)の1 番目のアンチコドンクレオチドのタウリン化学修飾が欠損し、コドン認識障害が惹起される。われわれは、タウリン高用量投与でMELAS モデル細胞のミトコンドリア機能障害が改善し、2 例のMELAS 患者で脳卒中様発作が9 年以上完全抑制されることを報告した。これを基に、タウリンによるMELAS 脳卒中様発作の再発抑制効果を検証するため多施設共同・オープン・第Ⅲ相医師主導治験を実施した。1 年間のタウリン投与により10 例中6 例で、脳卒中様発作再発が完全抑制され、100%レスポンダー率は60%であった。また80%の患者では脳卒中様発作の頻度が50%以下に減少した。末梢血白血球のミトコンドリアtRNALeu(UUR)タウリン修飾率は測定した9 例中5 例で有意に増加した。タウリン大量投与は、MELAS 患者のミトコンドリアtRNALeu(UUR)タウリン修飾欠損を修復し、脳卒中様発作再発を抑制する。