- 著者
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砂田 芳秀
大澤 裕
太田 成男
- 出版者
- 国際タウリン研究会
- 雑誌
- タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.1, pp.8-10, 2019 (Released:2020-09-20)
MELAS は繰り返す脳卒中様発作を特徴とするミトコンドリア病であり、tRNALeu(UUR)をコードするミトコンドリアDNA の3243A>G 変異に起因する。この変異によりtRNALeu(UUR)の1 番目のアンチコドンクレオチドのタウリン化学修飾が欠損し、コドン認識障害が惹起される。われわれは、タウリン高用量投与でMELAS モデル細胞のミトコンドリア機能障害が改善し、2 例のMELAS 患者で脳卒中様発作が9 年以上完全抑制されることを報告した。これを基に、タウリンによるMELAS 脳卒中様発作の再発抑制効果を検証するため多施設共同・オープン・第Ⅲ相医師主導治験を実施した。1 年間のタウリン投与により10 例中6 例で、脳卒中様発作再発が完全抑制され、100%レスポンダー率は60%であった。また80%の患者では脳卒中様発作の頻度が50%以下に減少した。末梢血白血球のミトコンドリアtRNALeu(UUR)タウリン修飾率は測定した9 例中5 例で有意に増加した。タウリン大量投与は、MELAS 患者のミトコンドリアtRNALeu(UUR)タウリン修飾欠損を修復し、脳卒中様発作再発を抑制する。