著者
谷本 正智 水野 雅康 田村 将良 磯山 明宏
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.451-457, 2009-06-20
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

〔目的・対象〕今回我々は,HTLV-I associated Myelopathy(以下HAM)患者に対して外来リハビリテーション(以下リハビリ)を行った。HAMは,その病態から廃用症候群を惹起しやすく,意欲を持って継続実施できるホームエクササイズ(以下Home ex)の設定が必要であった。そこでHome exを従来から実施している筋力訓練期間と乗馬マシンでの運動期間とに分け,その効果を比較することを目的とした。〔方法〕ABAB型シングルケーススタディにより乗馬マシンを用いたHome exを操作導入期に実施し,基礎水準測定期には体幹・下肢筋力訓練を用いた。〔結果〕評価項目の座位側方Reach,Functional Reach Test,重心動揺検査において操作導入期の改善が認められた。〔結語〕乗馬マシンでのHome exにより姿勢バランス向上を認め,主目標である家事動作,伝い歩きの向上を認めた。HAM外来患者へのリハビリの際,患者を取り巻く家庭環境等に合わせた具体的なHome exの設定が重要であり,これらが緩徐進行性で難治性神経疾患であるHAMに対しても,機能改善が図れることが示唆された。<br>
著者
谷本 正智 水野 雅康 塚越 卓 田村 将良 磯山 明宏 渡邉 晶規
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.383-390, 2008 (Released:2008-07-28)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

〔目的〕不動による関節拘縮後の廃用性筋萎縮に対する持続伸張運動が電気生理学的所見に及ぼす影響を明らかにするため実験を行った。〔対象・方法〕8週齢のWistar系雄ラット30匹を無処置の対照群5匹(以下,C群)と膝関節を4週間内固定し拘縮モデルを作製する実験群25匹に分け,さらに実験群は,1)4週間の不動終了直後にデータを測定した廃用群(以下,D群),2)不動期間終了後,4週間の通常飼育後にデータを測定した4NS群,ならびに8週間通常飼育後にデータを測定した8NS群,3)不動期間終了後,通常飼育に加え徒手的な持続伸張運動を4週間実施した後にデータを測定した4S群,ならびに8週間持続伸張運動を実施した後にデータ測定する8S群の5群に分けた。各期間終了後,膝関節可動域,ハムストリングス筋線維径,電気生理学的所見として単一筋線維筋電図(Single Fiber Electromyography: 以下,SFEMG)の指標を用いて経時的変化を検討した。〔結果〕電気性理学的改善は,4S群と8S群にて有意に持続伸張運動の効果を認め,膝関節可動域と筋線維径は8S群のみに有意な改善を認めた。