著者
一場 香理 礒田 昭弘 野島 博 高崎 康夫
出版者
日本作物学会関東支部
雑誌
日本作物学会関東支部会報 5 (ISSN:13416359)
巻号頁・発行日
pp.65-66, 1990-12-06 (Released:2017-08-24)

Eleusine属にはE. kigeziensis、E. tristachya等の多年生種とE. coracana(シコクビエ)、E. indica、E. multiflora等の一年生種がある。ここではシコクビエ9系統を出穂期以降、自然条件、自然日長・25/20℃、24h日長・25/20℃で栽培したときの生育と生存期間について報告する。
著者
礒田 昭弘 王 培武
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.1-9, 2001-03-31

中国新疆において,水分ストレス条件下のダイズ数品種の蒸散速度と葉温を経時的に測定し,その品種間差異と葉の調位運動との関係について検討した.4品種(青豆7232,8285-8,高肥16,東農87-138)を用い,播種から開花期の7月2日まで適宜かん水を行い,7月2日から8月12日の期間かん水処理を行った.かん水処理開始16日後に,水平に固定した葉身(葉身角度処理区)と自由に調位運動を行っている葉身(葉身角度無処理区)の葉温の経時的変化を測定した.同時にかん水区,無かん水区の1個体につき,単位葉面積当たりの茎流速度(蒸散速度)を測定した.各品種,処理区の小葉ごとの受光量も調査した.土壌水分条件が変化することにより,葉の調位運動に加えて葉温および蒸散速度の対応が品種間で大きく異なることが認められ,葉温と密接に関係していた.葉温の制御を主に葉の調位運動で行っているタイプ(東農87-138,高肥16),主に蒸散で行っているタイプ(青豆7232),そして両方によっているタイプ(8285-8)が認められた.かん水区の上位2層の受光量は,青豆7232が最も大きく,次いで東農87-138,8285-8,高肥16の順でとなり,無かん水区に比べかん水区の受光量が高くなった.単位土地面積当たり受光量は,かん水区で東農87-138,8285-8が大きくなり,無かん水区で若干減少した.葉面積,乾物重は,かん水区に比べ無かん水区では,高肥16および東農87-138は大きな差がなかったが,8285-8では葉面積,乾物重は大きく減少した.青豆7232は葉群構造は大きな変化はなかったが,無かん水区の葉面積,乾物重はかん水区に比べ一回り小さくなった.以上のことから,ダイズは葉の調位運動によって水分の損失を防ぎ,受光態勢の悪化を抑えることで乾物生産を保ち,水分利用効率を大きく向上させているものと考えられた.
著者
礒田 昭弘 Aboagye Lawrence Misa 野島 博 高崎 康夫
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.700-706, 1996-12-01
被引用文献数
2

ラッカセイの葉の調位運動の品種間差異について, 葉面受光量, 葉温及び蒸散速度の点から検討した. 5品種(千葉半立, タチマサリ, 関東56号, バレンシア, 金時)を圃場条件下で栽培し, 地上部最盛期に防雀網で群落最上層葉を抑え, 自由に調位運動を行っている無処理区の小葉面受光量と葉温の日変化を比較した. また, 熱赤外線画像測定機で各区の群落熱画像を撮影するとともに, 無処理区の個体を対象に蒸散速度, 気孔抵抗を測定した. タチマサリ, バレンシア, 金時の3品種では, 無処理区の葉温は気温とほぼ同様に推移したが, 処理区の葉温は気温より高く推移した. 千葉半立, 関東56号においては, 葉温は無処理区で気温と同様かやや高く推移したが, 処理区では午後から気温より低くなった. 受光量は曇天日には関東56号, バレンシア, 金時で, 晴天日ではタチマサリ, 関東56号で無処理区が有意に大きくなり, 両日とも関東56号が最大の受光量を示した. 蒸散速度は千葉半立が最大で, 次いでバレンシア, 関東56号, タチマサリ, 金時の順で, 気孔抵抗とは負の相関関係があった. 熱赤外線画像測定による群落の葉温はタチマサリ, 金時で高くなり, 千葉半立, 関東56号で低い値を示した. 以上のことから, 蒸散能力の高い品種は太陽光線を避ける運動の程度が小さいことから受光量が大きくなり, 蒸散能力の低い品種は太陽光線を避ける運動により葉温を下げ, 水分ストレスを回避している傾向がうかがえた.
著者
王 培武 礒田 昭弘 魏 国治
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.401-407, 1993-09-05

乾燥条件下でのダイズの葉の調位運動の実態と葉温との関係を調査するため, 乾燥地域である中国新疆ウイグル自治区石河子のコンクリート枠圃場で実験を行なった. 適宜かん水処理した区 (かん水区) と一定期間かん水を行なわなかった区 (無かん水区) を設け, 調位運動の活発な珍珠塔2号と不活発な黒農33号の2品種を栽培し, 登熟中期に, 葉群構造, 頂小葉の葉温を調査した. 黒農33号の無かん水区は茎長が小さくなり, 葉面積指数もかん水区の約半分になった. 珍珠塔2号の無かん水区は茎長は余り変わらないものの, 各層の葉面積指数が小さくなり, 全体の葉面積指数がかん水区の半分になった. 珍珠塔2号の無かん水区は早朝から葉身が立ち上がり, 日中は太陽光線と平行に近い状態となった. かん水区も調位運動を行なったが無かん水区ほど顕著ではなかった. 最上層の葉温はかん水区で午前中気温より少し高くなったが, 正午前から低く推移した. 無かん水区ではほとんどの時間気温より低く推移した. 黒農33号の無かん水区では葉身に萎れがみられた. かん水区では珍珠塔2号ほど活発ではなかったが, 昼間太陽光線と平行になろうとする調位運動を行なっていた. かん水区の最上層の葉温は正午前から気温より低く推移したが, 無かん水区では朝から気温よりかなり高く推移し日射量の変化に影響されていた. 珍珠塔2号の無かん水区に一時的にかん水を行なったところ, かん水5日後においても水分ストレス条件下と同様な太陽光線を避ける調位運動が認められた.