著者
藤代 準 堀 哲夫 金子 道夫 小室 広昭 楯川 幸弘 瓜田 泰久 工藤 寿美 星野 論子 神保 教広 坂元 直哉
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.226-230, 2011
参考文献数
13

直腸刺杭創は転落・転倒等により生じる稀な鈍的外傷であり,一般に深部の臓器損傷と体表創の程度が必ずしも一致しないため,受傷程度の評価が難しく,診断・治療に難渋することもある.われわれは腹膜翻転部の上下に2箇所の穿孔を生じた稀な直腸刺杭創の1例を経験したので報告する.症例は6歳女児で,ビニールプールで遊んでいた際水鉄砲の内筒が肛門に刺入した.出血が止まったので自宅で様子を見ていた.同日夜より腹痛・発熱を認めたため翌日前医受診,CT検査にて消化管穿孔と診断され,当科搬送となった.直腸刺杭創が原因と考え,同日緊急手術を施行した.腹膜翻転部直上の直腸前壁に2.5cmの穿孔を認め,穿孔部閉鎖,洗浄,人工肛門造設術を施行した.術後の直腸造影にて腹膜翻転部より肛門側に別の穿孔部を認めた.受傷後5か月で人工肛門閉鎖術を施行した.直腸刺杭創の治療の際には,術中に腹腔側から観察できない腹膜翻転部以下の下部直腸の精査が重要である.
著者
家入 里志 小幡 聡 神保 教広 宗崎 良太 橋爪 誠
出版者
一般社団法人 日本コンピュータ外科学会
雑誌
日本コンピュータ外科学会誌 (ISSN:13449486)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.67-71, 2015 (Released:2016-04-16)
参考文献数
15

欧米とほぼ同時期の2000年頃に臨床試験が開始されたロボット手術1), 2) も, わが国においては医療機器に対する薬事法での製造販売承認に時間を要したものの, 2014年12月現在, 200台近いda Vinci®システムが導入され, いよいよ今後の外科系の各領域での普及が期待される. この約15年間で, わが国における低侵襲外科治療は内視鏡外科手術を中心に飛躍的な発展を遂げ, 世界有数の内視鏡外科手術の技術を有する国となっている. このような状況下で, 今後ロボット手術が本邦で普及するにあたっては, ロボット手術のコストに見合う診療報酬を確保できるかという医療制度の問題と, 手術のクオリティを担保する医師の教育・トレーニングが課題となると考えられる. 本稿では, 現在のトレーニングの状況に関して解説する.