著者
滝本 泰光 丹家 佐和子 増村 千佐子 津田 香南子 福田 悠二 長井 美樹 神原 留美
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.120, no.7, pp.907-913, 2017-07-20 (Released:2017-08-18)
参考文献数
8
被引用文献数
2

鼻骨骨折は日常診療でよく遭遇する疾患であり, その非観血的整復術は視診触診で行われることが多い. 整復が良好になされたかどうかの評価は術者の主観によるため, その判断に迷うことがある. そのために, 以前から視診触診に加えて超音波エコー下に鼻骨をリアルタイムに描出して整復を行う方法の有用性が多数報告されている. また近年, 音響カップリング素材を用いた方法も報告もされているが, まだ報告も少なく, その有用性を検討した報告もみられない. よってわれわれは, 超音波エコー下鼻骨骨折整復術における音響カプラーゲルパッドの有用性について検討した. 2016年6月から2016年11月までの期間に市立吹田市民病院を受診し, CT 検査にて鼻骨骨折と診断され鼻骨骨折整復術を施行された10症例を対象とした. 検討の結果, ゲルパッドを使用した方がよりアーチファクトが少なく容易に骨折部位の認識が可能になること, 鼻背部の皮膚のラインの描出と評価が可能になること, 微細な骨折の描出が可能になることが分かった. 超音波エコー下鼻骨骨折整復術における音響カプラーゲルパッドの併用は鼻骨の描出に非常に有用であった.