著者
榎本 圭佑 榎本 敬恵 長井 美樹 武田 和也 原田 祥太郎 坂田 義治
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.291-293, 2013 (Released:2014-01-31)
参考文献数
17

小児甲状腺濾胞癌は発生頻度が非常に低く,主に成人症例の濾胞癌や分化癌の解析に含まれた報告か,症例報告がなされてきた。今日までに知られている小児症例における濾胞癌の臨床像について解説し,その治療法について報告する。
著者
桝野 絢子 榎本 圭佑 長井 美樹 島津 宏樹 武田 和也 原田 祥太郎 榎本 敬恵 田仲 由佳 松田 忠司 今西 啓子 伏見 博彰 坂田 義治 岡田 倫之
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.299-304, 2013 (Released:2014-01-31)
参考文献数
17

同時期に甲状腺癌が発見された家族性非髄様甲状腺癌(familial nonmedullary thyroid cancer:FNMTC)の3症例を経験したので,家系調査を行った。症例は37歳・女性,63歳・女性(母),41歳・女性(姉)の3名の家族で,画像所見と病理所見について比較し,その特徴を調べた。超音波画像では2cm以下の多発する腫瘤像を認め,粗大な石灰化を伴うものや小さなものでは比較的同じような類円形を呈していた。CT画像所見では石灰化を伴う腫瘤を両葉に認めた。病理学的所見では両葉に多発する腫瘤像を認め,個々の腫瘤は緻密な線維形成を伴っており,これらの所見は画像所見に反映されていたと考えられる。1症例の中で個々の腫瘤像の特徴が類似した多発する甲状腺乳頭癌をみた場合,FNMTCと考え,入念に家族歴を問う必要があると考える。
著者
滝本 泰光 丹家 佐和子 増村 千佐子 津田 香南子 福田 悠二 長井 美樹 神原 留美
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.120, no.7, pp.907-913, 2017-07-20 (Released:2017-08-18)
参考文献数
8
被引用文献数
2

鼻骨骨折は日常診療でよく遭遇する疾患であり, その非観血的整復術は視診触診で行われることが多い. 整復が良好になされたかどうかの評価は術者の主観によるため, その判断に迷うことがある. そのために, 以前から視診触診に加えて超音波エコー下に鼻骨をリアルタイムに描出して整復を行う方法の有用性が多数報告されている. また近年, 音響カップリング素材を用いた方法も報告もされているが, まだ報告も少なく, その有用性を検討した報告もみられない. よってわれわれは, 超音波エコー下鼻骨骨折整復術における音響カプラーゲルパッドの有用性について検討した. 2016年6月から2016年11月までの期間に市立吹田市民病院を受診し, CT 検査にて鼻骨骨折と診断され鼻骨骨折整復術を施行された10症例を対象とした. 検討の結果, ゲルパッドを使用した方がよりアーチファクトが少なく容易に骨折部位の認識が可能になること, 鼻背部の皮膚のラインの描出と評価が可能になること, 微細な骨折の描出が可能になることが分かった. 超音波エコー下鼻骨骨折整復術における音響カプラーゲルパッドの併用は鼻骨の描出に非常に有用であった.
著者
西池 季隆 坂田 義治 加藤 崇 長井 美樹 小西 雅樹
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.105, no.10, pp.1065-1070, 2002-10-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
20
被引用文献数
2 4

平成6年から平成14年の間に市立吹田市民病院において治療した下顎骨骨折35例を検討した.男女比は2:1であった.年齢別では20歳代が最も多く全体の31%を占めた.受傷原因では,交通事故52%,殴打31%,転倒•転落17%であった.骨折部位の頻度は,関節突起33%,おとがい部25%,角部22%,体部10%,枝部10%であった.30歳未満では受傷原因として交通事故および殴打が有意に多く,30歳以上で転倒•転落が多かった.交通事故や転倒•転落では関節突起骨折が有意に多く,殴打では他の部位の骨折が多かった.治療は,チタンあるいは吸収性プレートによる観血的治療および顎間固定30例,顎間固定のみ2例,保存治療1例,他院での治療2例であった.顎間固定の期間は平均42日であった.6ヵ月以上経過を追えた22例中後遺症は6例であった.痛み4例,咬合不全1例,顎関節雑音1例,顔面神経側頭枝の麻痺1例であった.関節突起骨折では他の部位の骨折に比較して有意に後遺症が多く発生していた.今後の当院における下顎骨骨折治療の検討課題は,顎間固定期間の短縮化,吸収性プレートの適用の拡大,関節突起骨折の治療方法の検討であると考えられた.
著者
宇野 敦彦 森脇 計博 加藤 崇 長井 美樹 坂田 義治
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.9-16, 2001-01-20
被引用文献数
9 20

良性発作性頭位めまい症 (BPPV) の病態についての考え方は最近, 急速に整理されてきた. 従来からの回旋の強い眼振の誘発されるタイプは後半規管が主たる病巣と考えられ (P-BPPV), 側臥位で水平成分の強い眼振の誘発されるタイプは水平半規管が主たる病巣と考えられている (H-BPPV). このような考えに従って, 1999年度の1年間に当科で経験したBPPV症例についての現状を報告した.<BR>めまいを主訴とした新患患者619例のうち, 誘発される眼振所見からBPPVと診断されたものが23%, 眼振所見はなかったが問診から疑い診断したものを含めると43%を占めた. 疾患別に最も頻度が高く, めまい患者にしめるBPPVの割合はこれまでの報告と比べても非常に高い. 診断の問題と当院の特性が考えられる. H-BPPVもまれでなく, 眼振所見からBPPVと診断された143例の内, P-BPPVが65%, H-BPPVが31%であった. 検討期間中にP-BPPVとH-BPPVの両方を見た例も4%あった. H-BPPVの中では方向交代性向地性眼振の見られた例が73%, 方向交代性背地性眼振が27%であった. P-BPPVとH-BPPVの差を見ると, H-BPPVの方が早く寛解する率が高く, 頭部外傷後に起きる例ではP-BPPVの方が多い. 性差や年齢分布には大差なく, それぞれが移行する例や, 同じ患者に日をおいて異なったタイプが再発する例があり, 病因の本質的な差はないように思われる. 本検討では誘発される眼振を重視して, 診断と経過について検討した. 回転性めまいの後に続く動揺感については今後の課題である.