著者
宮野 裕 片桐 さやか 荻原 哲 光星 翔太 松本 卓子 新井田 素子 倉田 厚 神崎 正人
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.119-122, 2023-12-25 (Released:2023-12-25)
参考文献数
10

Hemangiopericytomas are soft tissue tumors of pericyte origin that line the capillaries and venous intima. It accounts for less than 1% of all brain tumors, but has a high rate of recurrence and metastasis even after complete resection. A 75-year-old male was admitted to our hospital for an examination of a right lung nodule following surgery for cerebral hemangiopericytoma. This case underwent open lung biopsy by video-assisted thoracic surgery, and metastatic hemangiopericytoma was revealed. No new pulmonary metastases have since been detected, and the patient is currently under a strict follow-up protocol.We report a surgical case of pulmonary metastasis, which is rare in this disease.
著者
神崎 正人
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.8-15, 2012-02

1990年頃から胸腔鏡下手術が始まった.当初、VATS=Video-assisted thoracic surgeryで、胸腔鏡補助手術であったが、現在VATSは、Video-assisted thoracoscopic surgeryになっている. 大別すると、1.完全胸腔鏡下手術、2.ポートアクセスVATS、3.小開胸直視併用の従来のVATSとなる.当科では、 1992年より胸腔鏡を導入した.主として肺部分切除には「2;ポートアクセスVATS」、肺亜区域切除以上では「1;完全胸腔鏡下手術」でおこなっている.,VATSでは、視野の展開に制限があり、開胸手術のように、多方向から肺門部を観察し、肺動静脈の分岐パターンを学習・習得する機会がなくなっている.しかし、 VATSは必須の手術手技であり、胸部CTから症例ごとの血管・気管支の走行、分岐を同定し、胸部CTから得られた情報をもとに、仮想の手術を組み立てなくてはならない.,当科では、個々の症例でCT画像から肺の3Dを再構築し、視野制限を補填し、安全なVATSに努めている.3D再構築の手順は、術前に胸部単純CTを肺門から腫瘍まで1mm(以前は2mm)幅で、高分解能CTを最低12cm撮影する.CT画像をDICOMデータに変換し、パーソナルコンピューター(以下PC)で3D画像を作製する.用いるソフトは、フリーソフトのCTTRYとシェアウェアのMetaseqoiaである.作製した3D画像は、着色、切断、変形、接合、透明化などの3Dワークス機能により、切除範囲、手術の手順を明確化でき、術前のシミュレーションが可能となる. PCで作製するので、簡単に持ち運べ、術中ナビゲーションに使用している.3D画像作製過程で、CTの読影、肺の局所解剖の教育的側面があり、PCがあれば3D構築画像の学習が可能である.現在、呼吸器外科手術におけるVATSは様々な疾患に適応され、その手術適応も拡大され、主流となっている.,
著者
川田 順子 神崎 正人 吉川 拓磨 前田 英之 村杉 雅秀 大貫 恭正
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.620-625, 2014-07-15 (Released:2014-08-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1

胸腺腫合併重症筋無力症に対し,ロボット支援下拡大胸腺―胸腺腫摘出術を施行した症例を経験したので報告する.症例は50歳女性.右眼瞼下垂と両上肢筋力低下を主訴に近医を受診し,精査の結果,重症筋無力症(MGFA class IIa)と診断された.精査加療目的に当科紹介受診.胸部computed tomographyで前縦隔に46×35 mmの腫瘤を認めた.手術は左胸腔よりアプローチし,ダヴィンチサージカルシステムを用いて行った.ポート作成後,胸腔内に二酸化炭素を送気した.左横隔神経の前方で縦隔胸膜を切開し,胸腺左葉下極より上極まで剥離した.その後,対側である右縦隔胸膜を切開し,右横隔神経に注意しながら胸腺右葉も下極から上極の順に剥離し,胸腺および胸腺腫を摘出した.病理診断はtype B2,正岡分類I期であった.二酸化炭素送気で,左胸腔アプローチでも良好な視野の下に安全に手術を施行することができた.
著者
吉川 拓磨 神崎 正人 小原 徹也 大貫 恭正
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.156-160, 2009-03-15 (Released:2009-12-14)
参考文献数
8

症例は65歳女性.近医で胸部異常陰影指摘され,当院呼吸器内科を受診した.胸部CT上両側に数mm大の多発結節影を認めた.身体所見,血液検査所見に異常なく,喀痰培養検査,ツ反検査等から結核,真菌症,サルコイドーシスは否定的であった.PET検査でも,集積はなかったが,増大傾向を認めたため,確定診断をつけるため胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.病理検査では,結節性リンパ組織過形成(NHL)と診断された.NLHはMALTリンパ腫と鑑別すべき疾患の1つであり,今後報告例はさらに増加すると思われる.NLHの中でも多発結節を呈する症例はいまだ報告例が少なく,病態,予後,治療方針に関し不明な点が多いことから,今後の症例の蓄積が必要と思われる.