著者
神田 裕子 豊田 元
出版者
東京医療保健大学
雑誌
東京医療保健大学紀要
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.39-42, 2006

尿中エクオールが月経前愁訴(PMS)に及ぼす影響を検討した。健康な非妊娠女性39名の尿中イソフラボン量を測定するとともに、アンケートによる大豆イソフラボン摂取状況、身体、精神症状を調査した。尿中排泄量はダイゼイン:25.3±10.8μmol/day、グリシテイン:10.0±4.5μmol/day、ゲニステイン:5.4±2.3μmol/dayであった。エクオール産生者は39名中17名(約44%)であり、尿中エクオール排計量の中央値は12.8μmol/dayであった。対象者の精神症状のアンケート結果をエクオール産生者、非産生者に分類すると、エクオール産生者の精神症状の日常生活に影響を与える程度の有訴率は18.0%であったのに対し、非エクオール産生者のそれは45.0%であった。また、大豆イソフラボン摂取量は、全てアグリコンに換算して算出した。大豆イソフラボンアグリコン量は、1日あたり17.9±3.4mg(1.0mg〜58.8mg)であった。本研究において、エクオール産生によるPMSとの関連を示唆するデータが得られた。今後、エクオールの代謝経路が明らかになるにつれて、エクオール産生と大豆摂取との関連の研究が重要となっていくであろう。eywords :
著者
神田 裕子
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.133, no.1, pp.43-51, 2009 (Released:2009-01-14)
参考文献数
31

シタフロキサシン(STFX:グレースビット®錠50 mg,細粒10%)は,第一三共株式会社において創製され,2008年6月に発売されたキノリン骨格の1位にフルオロシクロプロピル基を,7位にスピロ型アミノピロリジン基を有するキノロン系抗菌薬である.本剤は,既存のキノロン系抗菌薬耐性菌を含むグラム陽性菌ならびにグラム陰性菌,さらにはマイコプラズマおよびクラミジアなどの非定型菌に対して,既存キノロン系抗菌薬と比較して最も高い抗菌活性を示した.特に,呼吸器感染症主要原因菌である肺炎球菌および尿路感染症主要原因菌である大腸菌に対し,既存キノロン系抗菌薬と比較してそれぞれ2~32倍および8~16倍強い抗菌力を示した.STFXは細菌の標的酵素であるDNAジャイレースおよびトポイソメラーゼIVのいずれの酵素に対しても強い阻害作用を有し,さらに既存のキノロン系抗菌薬に耐性化した変異酵素の活性も強く阻害するため,他のキノロン系抗菌薬の耐性株に対しても強い抗菌力を発揮できると考えられた.STFXはヒトにおいて経口投与により速やかに吸収された後,良好な組織移行性と約6時間の半減期を示しながら,その大部分(約70%)が未変化体として尿中に排泄された.臨床試験においては,呼吸器感染症,尿路感染症をはじめとする各種感染症において90%以上の高い有効性が認められ,さらに,直前抗菌化学療法無効患者においても93.4%の高い有効性が認められた.細菌学的効果(菌消失率)は,呼吸器感染症で92.0%,尿路感染症で95.8%であり,本剤の強い抗菌力を反映した優れた効果が認められた.臨床試験で認められた主な副作用は下痢(13.0%)であったが,大部分が軽度であり一過性のものであった.これらの基礎試験および臨床試験成績から,STFXは呼吸器感染症,尿路感染症をはじめとする細菌感染症治療の有用な選択肢と考えられる.
著者
神田 裕子
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2009

制度:新 ; 報告番号:甲2871号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2009/5/20 ; 早大学位記番号:新5095