著者
刈屋 武昭 佃 良彦 前川 功一 山村 能郎 乾 孝治 田野倉 葉子 神薗 健次
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

第1に、金利、国債価格、社債価格、信用リスクの変動にかかわるクロスセクション分析モデルを展開し、金融危機を含む期間に対して、多様な分析を行った。中でも、日本、米国、欧州5か国の国債分析、日本社債を中心とした社債別の信用リスク指標と市場格付け法を開発し、それに基づく企業別、業種別の倒産確率の期間構造を導出した。第2に、さらに時系列分析として、国債価格予測モデルの定式化と予測とその日本国債価格への応用、動学的変動相関モデルによる東南アジア諸国の債券利回りの世界債券市場の中での共和分性の検証、また為替レート変動分析に関して分散変動回帰モデルにおいて構造変化点の推定法などの研究を行った。
著者
神薗 健次
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

金融派生証券価格理論においては,まず原資産価格の変動を表すモデルとして,例えば対数正規過程などの確率過程が与えられる.次に派生証券は,ヨーロピアン型の場合では,派生証券満期におけるペイオフとして特徴付けられ,これはモデルの上では満期時点における原資産価格の関数として与えられる.そして,当該金融派生証券の現在時点における価格は,満期でのペイオフの割引現在価値の期待値を,いわゆるリスク中立確率測度のもとでとることによって得られる.これが,無裁定価格理論の概要である.本研究は,金融派生証券価格を非対称情報のもとで考察することを目標としてスタートした.平成19年度における本研究の研究実績の概要は以下の通りである.前年度までに Bikulov and Volovich(1997)によるBrown運動による対称確率積分を定義し,Malliavinの発散作用素との関連を論じたが,今年度には論文のさらなる改訂を行い,最終的に学術雑誌Stochastics第79巻・第6号に成果を発表するに至った.前年度より引き続き手がけていた,Donskerの不変原理に相当する定理の証明は未完であるが,p進時変数のDoobの不等式に相当するものを求めるということが新たな問題として浮かび上がった.また,前年度得られた成果であるρ進有理数全体を時変数にとるBrown運動をPaley-Winnerの方法によるBrown運動の構成について,The Third International Conference on p-Adic Mathematical Physicsにて成果報告を行った.